はかい【破戒】 島崎藤村(しまざきとうそん)の長編小説(ちょうへんしょうせつ)。1906(明治(めいじ)39)年刊(かん)。被差別(ひさべつ)部落の問題を取材(しゅざい)した社会小説(しょうせつ)で,わが国の自然主義(しぜんしゅぎ)文学の出発点となった。被差別(ひさべつ)部落出身の小学校の教師瀬川丑松(きょうしせがわうしまつ)は,社会の不合理(ふごうり)をのろいながらも,身分をかくせという父親のいましめにしたがっている。しかし,先輩猪子蓮太郎(せんぱいいのこれんたろう)の犠牲的(ぎせいてき)な死と父親の死に動かされて,それまでかくしていた出生の秘密(ひみつ)を公表し,町を出るまでをえがく。