パレスチナのイスラム組織であり,イスラエルとの和平に反対の立場に立つ。正式名称は「イスラム抵抗運動」で,アラビア語の略称ハマスは,熱情の意味である。もともとは貧困救済などの社会事業を行っていたエジプトのムスリム同胞団のガザ支部が,1987年に始まったパレスチナ人の住民蜂起をきっかけに組織した団体。1990年代以降,PLOに次ぐ組織に成長したが,1994年以来,パレスチナ自治政府をひきいてきた穏健派ファタハと路線を別にして,自爆テロなどの軍事攻撃を行う一方で病院や学校の建設など草の根的な慈善活動で住民の支持を広げた。2006年のパレスチナ立法評議会(自治政府の国会)選挙で勝利し,3月には単独政権を発足させた。2007年3月にファタハとの統一政権をつくったが,ヨルダン川西岸をファタハが,ガザはハマスが支配する状態となり,6月に分裂した。しかし,2008年末から2009年初めにかけてのガザ紛争の後,ふたたびハマスとファタハによる統一政府設立が模索されている。