(1799〜1850)フランスの小説家。はじめ法律を学んだが,のち文学に転向,その間にいろいろな事業に手をだして失敗し,ばく大な借金の返済のために一生小説を書きつづけた。冷静な目で社会の動きや,そこに浮きしずみする人々のすがたをえがき,フランスの自然主義小説や,世界の近代小説に大きな影響をあたえた。90編におよぶ小説が『人間喜劇』という総題のもとにまとめられている。そこにはフランス革命のおこった1789年から約60年間の社会や歴史がえがかれ,この連作の中には,『谷間の百合』『従妹ベット』『従兄ポンス』『ゴリオ爺さん』などの傑作がふくまれている。◇スタンダールとともにフランスのレアリスム文学の確立者。