ヒッグス場として空間を満たし,すべての素粒子に質量をあたえていると考えられる粒子。1964年にイギリスの物理学者ヒッグス(ピーター=)(1929〜 )によって理論的に予言された粒子で,ビッグバンにより宇宙が誕生した直後,1000兆℃という超高温の中,ヒッグス粒子(ヒッグスボソン)は蒸発した状態で,すべての素粒子は何の抵抗も受けずに自由運動をしていた。つまり,力を受けたときの加速のされにくさが0ということで,質量が0であった。そして1兆分の1秒後,蒸発していたヒッグス粒子が空間を満たし(「真空の相転移」という),素粒子はブレーキを受け,質量をもつことになったといわれる。ヒッグス粒子の存在は現在のところ確認されていないが,素粒子物理学の「大統一理論」にその存在は不可欠である。