心的外傷後ストレス障害。Post Traumatic Stress Disorderの略。大きな災害や事故にあったり,重大な事件の被害者や目撃者,さらには幼児期の虐待などによって,心に傷を負い,それが障害となって現れる精神的な後遺症。ただし,事件直後に短い間現れる障害はATSD(急性ストレス障害)といって一過性のもので,PTSDは症状が1か月以上続くもの,事件から長い期間を経て症状が現れるものをさす。おもな症状としては,事件や事故を白昼夢のように再体験するフラッシュバック,体験回避の記憶喪失や感情レベルの低下,不眠や緊張・イライラなどがあげられる。◇1970年代,アメリカでベトナム戦争の帰還兵たちの社会不適合,慢性的な抑うつが大きな社会問題になり,その原因が戦争での恐怖の後遺症にあることがわかり,PTSDが研究されるようになった。