(1889〜1945)第二次世界大戦をひきおこした,ドイツの独裁者。
ナチスの指導者
オーストリアの下級役人の子。第一次世界大戦後,右翼的なドイツ労働者党に参加。ベルサイユ条約・ユダヤ人・マルクス主義に反対する宣伝活動で人気をあつめ,同党が国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)と改称してから,その党首となった(1921年)。1923年,政権打倒をはかってミュンヘンで武装ほう起をおこしたが失敗し,獄中で『わが闘争』を書いて,ドイツ民族の優秀性とその世界征服の正当性を主張。出獄後は合法活動で党勢をのばした。
独裁と世界大戦
世界恐慌による経済混乱のなかで,ナチスは共産党の進出をおそれる保守勢力の支持を得て,1932年の総選挙で第1党に躍進。ヒトラーは翌年首相に,1934年には大統領もかねる総統となってナチスの一党独裁をしき,ユダヤ人を迫害した。ついで,ベルサイユ条約を無視して再軍備を行い,オーストリア併合など侵略外交をおしすすめ,1939年にポーランドに侵入,第二次世界大戦をひきおこした。はじめ電撃的な攻勢にでたが,1943年から形勢が逆転し,1945年4月,ベルリン陥落の直前に自殺した。