北海道は,北海道本島と周辺の島々からなり,津軽海峡をへだてて本州と相対する。歯舞群島・色丹島・国後島・択捉島のいわゆる北方領土は,第二次世界大戦後に旧ソビエト連邦に占領されたまま,今日にいたっており,日本とロシア連邦間の懸案となっている。北海道は古来,アイヌの人々が住む土地であった。しかし,江戸時代には松前藩がおかれてアイヌとの交易で利益をあげるいっぽうで,アイヌの生活が圧迫されるようになった。明治時代に入ると,政府は札幌に開拓使をおき,屯田兵制度もつくって本格的な開発に着手。開発は石狩平野から東へと進められ,第二次世界大戦後は,根釧台地の大規模な開発が進められている。
〔自然のようす〕
(1)地形…北海道の中央部を南北に北見山地・日高山脈がつらなっている。火山も多く,十勝平野・根釧台地などは火山灰地である。石狩・天塩・十勝などの川が中央部の山地を源とし,広い平野をゆったりと流れて海に注ぐ。
(2)気候…北海道は冷帯(亜寒帯)に属する。根雪期間が長いが梅雨がなく,一般に降水量は少ない。オホーツク海沿岸は2〜3月ごろ流氷にうまり,南東部の太平洋岸では5〜8月に濃霧が発生しやすい。
〔産業のようす〕
(1)農業…北海道の農業は畑作が中心,大規模経営の専業農家が多い,大型農業機械導入が進んでいる,酪農がさかんで畑作との混合農業も行われている,などの特色がある。十勝平野は北海道の農業の典型である。また,根釧台地では新酪農村が建設され,大規模な酪農地域となっている。米作は,品種改良や客土による土地改良などによって,ほぼ北海道全域で行えるようになった。中心は石狩平野・上川盆地である。
(2)漁業…かつては,根室・釧路・函館などを基地として,サケ・マスの北洋漁業がさかんであった。しかし,200海里漁業水域の設定,漁業条約・協定による規制で,サケ・マス漁はほとんどできなくなった。現在は,沖合いや沿岸漁業,養殖漁業への転換が進められている。
(3)鉱工業…石狩炭田は日本最高の出炭量をほこっていたが,エネルギー政策の転換によって閉山があいついだ。工業は,北海道でとれる農林水産物を加工する食品・製紙・パルプなどの工業のほか,室蘭・函館・苫小牧市の鉄鋼・機械・石油化学などの重化学工業も発達している。苫小牧東部では,掘りこみ式の港を中心に,工業基地が建設されている。
コーチ
青函トンネルの開通などにより,年間5000万人前後の観光客がおとずれる。北海道