(1925〜2012)昭和・平成時代の小説家,評論家,英文学者。山形県生まれ。1950(昭和25)年,東京大学を卒業後,国学院大学などで教鞭をとるかたわら英文学の翻訳,評論などで活躍をはじめる。1960(昭和35)年,最初の小説「エホバの顔を避けて」を発表,68年,「笹まくら」で芥川賞を受賞。「たった一人の反乱」(72年),「裏声で歌へ君が代」(82年),「女ざかり」(93年),「輝く日の宮」(2003年)などほぼ10年おきに長編小説を発表し,数々の文学賞を受賞した。王朝和歌や古典文学への造詣も深く,『後鳥羽院』『新々百人一首』『忠臣蔵とは何か』などの著作もある。学識豊かなエッセー,イギリス流の優れた書評でもよく知られた。翻訳の代表作としてジョイス『ユリシーズ』(共訳)『若い芸術家の肖像』などがある。