光合成の,明反応(光エネルギーをとりこみ,水を分解して酸素をつくりだす化学反応)で大きな役割をになう物質。植物の光合成は葉緑体のチラコイド膜上のタンパク質複合体による光化学反応(光を吸収して行われる化学反応=電子のやりとり)のことをいうが,複雑ないくつもの段階をふんで行われる反応で,全体像はまだ明らかにされていない。しかし,その第1段階が,PSⅡ(光化学系Ⅱ)というタンパク質複合体が光エネルギーを吸収して,酸化還元反応によって水を分解して電子をひきだすことだとはわかっている。PSⅡは20個のタンパク質の複合体で,その中心部にあって触媒のはたらきをする物質がマンガンクラスターである。◇2011(平成23)年,マンガンクラスターの原子の立体構造を日本の神谷信夫・沈建仁の2人の研究者が解明した。→光合成,葉緑体