(1922〜2015)昭和・平成時代の漫画家。鳥取県に生まれる。本名武良茂。高等小学校卒業後,大阪に出て働きながら,美術学校や夜間中学などを転々とする。太平洋戦争に出征し,ラバウル戦線で左腕を失う。終戦後,紙芝居作家を経て,1958(昭和33)年,貸本漫画の単行本でデビュー。その後,貸本雑誌に時代・伝奇,妖怪ものなど数多くの作品を発表していたが,64年に雑誌「ガロ」に発表した『鬼太郎夜話』,65年少年雑誌に発表した『テレビくん』により人気漫画家になる。代表作『墓場の鬼太郎(のちに,ゲゲゲの鬼太郎)』『悪魔くん』『河童の三平』はいずれもアニメや実写でテレビ化され子どもたちの人気を博した。点描を重ねた独特の絵柄による怪奇もの,妖怪ものには定評があり,日本の第一人者。江戸時代の絵図を参考にし,また想像力により妖怪に形を与え,日本の「妖怪文化」をつくりだしたともいえる。『新選組夜話』『昭和史』などの歴史ものや『総員玉砕せよ!』など戦記漫画,『猫楠』『神秘家列伝』などの伝記漫画の作品も多い。自伝エッセーに『のんのんばあとオレ』がある。◇現在も人気の「鬼太郎」シリーズは,もともとは1930年代に何人かの紙芝居作家が描いて人気のあった,「子育て幽霊」の伝説をもとにした紙芝居『ハカバキタロー』に原点があったという。