(1949〜 )現代の小説家。京都府に生まれ,兵庫県で育つ。早稲田大学卒業後,ジャズ喫茶を経営していたが,1979(昭和54)年,『風の歌を聴け』で新人賞を受賞し,作家としてデビュー。ぼんやりとした喪失感や他人との距離感を,軽妙でぬくもりのある文体で表現する作風は1980〜90年代の若者の読者層に大きく支持され,社会風俗や言語感覚にも影響をあたえた。代表作は,ベストセラーになった『ノルウェイの森』『1Q84』のほか,『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ねじまき鳥クロニクル』などがある。また現代アメリカ文学の翻訳でも知られている。◇村上の作品は世界各国で翻訳されて評価も高く,2006年のフランツ・カフカ賞,2009年のエルサレム賞など,数多くの受賞歴がある。