＊＊むろまちぶんか【室町文化】

北山(きたやま）文化をへて東山(ひがしやま）文化で完成(かんせい）された，簡素(かんそ）で気品のある室町(むろまち）時代の文化。

〔北山(きたやま）文化と東山(ひがしやま）文化〕

 第3代将軍(しょうぐん）足利義満(あしかがよしみつ）が京都(きょうと）の北山(きたやま）にたてた金閣(きんかく）に代表される文化を北山(きたやま）文化といい，第8代将軍(しょうぐん）足利義政(あしかがよしまさ）が京都(きょうと）の東山(ひがしやま）にたてた銀閣(ぎんかく）に代表される文化を東山(ひがしやま）文化という。この時代には，優美(ゆうび）で伝統的(でんとうてき）な公家(くげ）文化と，力強くそぼくな武家(ぶけ）文化がとけ合い，中国の宋(そう）・元(げん）・明(みん）の文化や禅宗(ぜんしゅう）の影響(えいきょう）を受けて，簡素(かんそ）で深みのある文化が生まれた。

コーチ

 都(みやこ）の貴族(きぞく）や僧(そう）が，戦乱(せんらん）をさけて地方へくだって文化をつたえたため，独特(どくとく）の地方文化が生みだされた。また，この時代には庶民(しょみん）の文化もおこった。

〔文化の内容(ないよう）〕

（1）建築(けんちく）・美術(びじゅつ）…金閣(きんかく）や銀閣(ぎんかく）がたてられ，現代(げんだい）の和風建築(けんちく）のもとになった書院造(づくり）が生まれ，龍安寺(りょうあんじ）の石庭など枯山水(かれさんすい）の庭園がつくられた。雪舟(せっしゅう）によって水墨(すいぼく）画が大成(たいせい）され，狩野派(かのうは）の絵画もおこった。

（2）文学・芸能(げいのう）…南北朝(なんぼくちょう）時代に北畠親房(きたばたけちかふさ）が『神皇正統記(じんのうしょうとうき）』をあらわし，軍記物(ぐんきもの）の『太平記(たいへいき）』が生まれた。室町(むろまち）時代には連歌(れんが）が流行し，『浦島太郎(うらしまたろう）』などのおとぎ草子(ぞうし）が多くの人々に読まれた。将軍義満(しょうぐんよしみつ）の保護(ほご）を受けた観阿弥(かんあみ）・世阿弥(ぜあみ）によって能楽(のうがく）が大成(たいせい）され，能楽(のうがく）の合い間に狂言(きょうげん）が演(えん）じられた。茶の湯や生け花も広まった。

（3）仏教(ぶっきょう）・学問…蓮如(れんにょ）が一向宗(いっこうしゅう）を発展(はってん）させ，日蓮宗(にちれんしゅう）の信者(しんじゃ）もふえ，臨済宗(りんざいしゅう）は幕府(ばくふ）の保護(ほご）を受けてさかえた。禅僧(ぜんそう）の間で五山文学とよばれる漢文学がさかんになり，上杉憲実(うえすぎのりざね）が再興(さいこう）した足利(あしかが）学校（栃木(とちぎ）県足利(あしかが）市）は，関東(かんとう）の文化の中心となった。