福井県敦賀市にある,日本ではじめての発電用高速増殖炉。「もんじゅ」とは知恵をつかさどる仏とされる「文殊菩薩」からつけられた名前。高速増殖炉とは,プルトニウムを燃料として核分裂で生じる高速中性子をエネルギーに利用する原子炉で,燃料に混合した核分裂をおこさないウラン238が中性子を吸収して消費した以上のプルトニウムに変化する,つまり,使った量より燃料が「増殖」するために,こうよばれる。増殖したプルトニウムは核燃料サイクル施設で処理されてふたたび燃料にされる。もんじゅは1991(平成3)年4月に組み立て完了,電気出力28kW,実用炉の試験のために2分の1程度の規模で作られた原型炉である。試運転中の95年12月,2次冷却剤のナトリウムもれの事故をおこし運転を中止。安全審査と改良工事をへて2010年5月,14年5か月ぶりに運転を再開したが,8月に原子炉容器内に機器が落下するという事故がおきてふたたび運転中止。2011年3月の東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故をうけての検査で,緊急時の冷却の困難さも判明し,2016年12月に廃炉が決定した。→プルトニウム→核分裂→原子炉→核燃料サイクル施設