量子力学(エネルギーなどの物理量の最小単位量を量子として,それをもとに原子的現象をあつかう理論体系)によれば,原子や電磁波粒子,光子は,「ある」状態と「ない」状態が同時に存在することができる。この状態の重ね合わせが保てる粒子を基本素子(キュービットとよばれる)として,それを情報処理の基本単位にして構想されるコンピュータ。キュービットは「1か0か」ではなく「1でもあり0でもある」という情報をもてるために,キュービットn個の回路は2のn乗の計算を同時並行でき,現在のスーパーコンピュータが1年かかる計算を0.1秒で処理できるといわれている。現在,数キュービット程度の簡単な回路動作は確認されており,研究・開発が進められている。◇粒子が重ね合わせ状態になったキュービットをつくりだすことに成功した,フランスのアロシュ,アメリカのD・ワインランドの2人に2012年ノーベル物理学賞が贈られた。