固体または液体の燃料を燃やして大量の高速ガスを発生させ,それを一方の口から噴出させて反作用で前進する飛行体。航空機のジェット=エンジンと原理は似ているが,ロケットは酸素を発生するもの(酸化剤)を燃料とともに運ぶので,空気のない所でも作動することがちがう。◇宇宙ロケットには,燃料と酸化剤の調節が自由にできる液体ロケットが多くつかわれる。
〔多段ロケットの意義〕
打ち上げられるロケットは,数千トンもの重量があるが,そのほとんどは,燃料である。このぼう大な燃料を燃やし,燃焼ガスをいきおいよく噴射することで,ロケットは打ち上げられる。噴射される燃焼ガスの小さな分子1つ1つの作用に対する反作用で動くのである。ロケットが,1段で毎秒8kmの速度を得るには,全体の質量の96%を燃料としなければならないが,たとえば2段にして,それぞれのロケットで毎秒4kmの速度を得るようにすれば,2段目の重量を全体の10分の1とすると,燃料は全質量の88%ですむ。このため,宇宙ロケットの打ち上げには多段ロケットを使用する。