総裁選で他の立候補者らと健闘をたたえ合う石破茂氏(右から3人目)=2024年9月、東京都千代田区(写真:©朝日新聞社)
国民の支持広がるも党内反発で閉幕
石破茂首相の政権が発足したのは去年10月1日。2022年に明るみになった派閥の政治資金をめぐる裏金問題など、「政治とカネの問題」への対応などで大きく支持率を落とした岸田文雄前首相が、任期満了で総裁選への出馬を断念。党内で長く主流派から距離を置いていた石破氏が、決選投票の末に新総裁に選ばれた。
自民党と公明党からなる与党は、安倍晋三元首相のもとで2012年末に政権に復帰したころから、「数の力」を押し出した強引な政権運営や国会軽視が目立ってきた。石破氏にはそうした政治姿勢からの転換や、裏金問題などへのウミを出し切ることなどが期待された。
ところが石破首相は国会での論争をそこそこに、就任から8日後に衆議院を解散した。選挙戦では裏金問題での国民の不信感をぬぐい去れず、自民党が政権を取り戻してから初となる与党の過半数割れを招いた。
この際にも進退が問われたが、石破首相は続投を表明。少数与党のもと、政策課題ごとに野党と協力する「部分連合」の道を選んだ。
高校の授業料無償化、年収の「103万円の壁」の解消といった野党からの提案を受け入れつつ、予算を成立させるなど、一定の成果はあげた。ただ、裏金問題の背景にある企業や団体からの献金の見直しや、選択的夫婦別姓制度の導入などでは答えを出すことはできなかった。
そうして今年7月の参議院議員選挙でも自民・公明は大きく議席を減らして大敗。その後、首相の続投を支持する世論が広がったものの、自民党内での反発が日増しに強まる中、政権を維持するのは厳しかったようだ。
物価高や米国のトランプ政権による関税措置への対応、高騰するコメの増産策、最低賃金1500円の実現など、まだ達成に至っていない政治課題を多く抱える中、石破首相の政権は約1年で幕を閉じることとなった。
石破政権が掲げた政策・目標と達成具合
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