「もったいない」を減らすために

「もったいない」を減らすために
(グラフィックス/あきもとまさと)

毎(まい)年(とし)10月(がつ)30日(にち)は「食品(しょくひん)ロス削減(さくげん)の日(ひ)」、10月(がつ)は「食品(しょくひん)ロス削減(さくげん)月間(げっかん)」です。日本の現状(げんじょう)や、食品(しょくひん)ロスの問題(もんだい)を解決(かいけつ)するために取(と)り組(く)む人(ひと)を紹介(しょうかい)します。

国民(こくみん)1人あたり年間(ねんかん)37キロの食(た)べ物(もの)を捨(す)てている

「食品(しょくひん)ロス」とは、まだ食(た)べられるのに、捨(す)てられてしまう食品(しょくひん)のことです。

農林(のうりん)水産省(すいさんしょう)や消費者(しょうひしゃ)庁(ちょう)などによると、2023年度(ねんど)の食品(しょくひん)ロスの推計(すいけい)値(ち)は464万(まん)トン。22年度(ねんど)から8万(まん)トン減(へ)り、00年度(ねんど)以降(いこう)で最(もっと)も少(すく)なくなりました。このうち、飲食店(いんしょくてん)などから出(で)る事業(じぎょう)系(けい)食品(しょくひん)ロス量(りょう)は231万(まん)トン、みんなの家(いえ)から出(で)る家庭(かてい)系(けい)食品(しょくひん)ロス量(りょう)は233万(まん)トンです。

国(くに)は30年度(ねんど)に、00年度(ねんど)と比(くら)べて、事業(じぎょう)系(けい)と家庭(かてい)系(けい)の食品(しょくひん)ロス量(りょう)を50%減(へ)らすことを目標(もくひょう)としていました。事業(じぎょう)系(けい)については、22年度(ねんど)の推計(すいけい)で目標(もくひょう)を達成(たっせい)したため、今年(ことし)3月(がつ)、60%減(へ)らすことを新(あら)たな目標(もくひょう)としました。今回(こんかい)23年度(ねんど)の推計(すいけい)では、事業(じぎょう)系(けい)は58%、家庭(かてい)系(けい)は46%減(へ)っています。両方(りょうほう)とも目標(もくひょう)達成(たっせい)まであと少(すこ)しです。

ただ、国民(こくみん)1人あたりで計算(けいさん)すると、年間(ねんかん)37キロの食(た)べ物(もの)を捨(す)てたことになります。食品(しょくひん)ロスを減(へ)らすためには、何(なに)が必要(ひつよう)でしょうか。

食品(しょくひん)ロスはなぜ問題(もんだい)?

食品(しょくひん)ロスは、食(た)べ物(もの)を無駄(むだ)にしているだけではありません。消費者(しょうひしゃ)庁(ちょう)によると、食品(しょくひん)ロスをふくむ一般(いっぱん)廃棄物(はいきぶつ)の処理(しょり)費用(ひよう)に、年間(ねんかん)約(やく)2兆(ちょう)円(えん)使(つか)われているといいます。

また、水分(すいぶん)をたくさんふくんでいる食品(しょくひん)は、燃(も)やすのにたくさんのエネルギーを使(つか)うため、多(おお)くの二酸化(にさんか)炭素(たんそ)(CO2(シーオーツー))が発生(はっせい)します。食品(しょくひん)ロスを減(へ)らすことは、環境(かんきょう)のために身近(みぢか)にできる取(と)り組(く)みの一(ひと)つです。

「賞味期限(しょうみきげん)切(ぎ)れ」をすぐに捨(す)てないでーNPO(エヌピーオー)法人(ほうじん)「日本もったいない食品(しょくひん)センター」の取(と)り組(く)みー

廃棄(はいき)予定(よてい)の食品(しょくひん)を安(やす)く販売(はんばい)、安全(あんぜん)とおいしさを事前(じぜん)に確認(かくにん)!

大阪府松原市にあるecoeatの店内
大阪府(おおさかふ)松原市(まつばらし)にあるecoeat(エコイート)の店内(てんない)。47円(えん)の飲(の)み物(もの)などが並(なら)んでいます(写真(しゃしん)提供(ていきょう):高津(こうず)さん)

NPO(エヌピーオー)法人(ほうじん)「日本もったいない食品(しょくひん)センター」は、食品(しょくひん)メーカーなどから食(た)べられるのに捨(す)てられそうな食品(しょくひん)を安(やす)く仕入(しい)れて、食品(しょくひん)ロス削減(さくげん)に取(と)り組(く)んでいます。仕入(しい)れた食品(しょくひん)は、この法人(ほうじん)が2019年(ねん)に始(はじ)めた食品(しょくひん)ロス削減(さくげん)ショップ「ecoeat(エコイート)」で販売(はんばい)。現在(げんざい)、東京都(とうきょうと)や大阪府(おおさかふ)など15都府県(とふけん)に約(やく)30店舗(てんぽ)あります。

この法人(ほうじん)の代表(だいひょう)理事(りじ)・高津(こうず)博司(ひろし)さんによると、季節(きせつ)の変(か)わり目(め)では、仕入(しい)れる商品(しょうひん)の種類(しゅるい)が増(ふ)えるといいます。夏(なつ)の終(お)わりだと、ゼリーやかき氷(ごおり)のシロップ、冬(ふゆ)の終(お)わりだと鍋(なべ)のつゆなど、売(う)れる期間(きかん)がすぎた季節(きせつ)の商品(しょうひん)が並(なら)ぶためです。

賞味期限(しょうみきげん)がせまっている商品(しょうひん)のほか、すぎている商品(しょうひん)も販売(はんばい)しています。安全(あんぜん)に食(た)べられる期限(きげん)である消費(しょうひ)期限(きげん)とはちがい、賞味期限(しょうみきげん)はおいしく食(た)べられる期限(きげん)です。高津(こうず)さんは「賞味期限(しょうみきげん)は、メーカーがおいしさを保証(ほしょう)する期限(きげん)。そのため実際(じっさい)においしく食(た)べられる期限(きげん)よりも、賞味期限(しょうみきげん)を2~5割(わり)ほど短(みじか)くすることが多(おお)い」と話(はな)します。仕入(しい)れ先(さき)のメーカーに確認(かくにん)したり、スタッフが試食(ししょく)したりして、安全(あんぜん)でおいしく食(た)べられる食品(しょくひん)を店(みせ)に並(なら)べています。

余(あま)った食品(しょくひん)を地元(じもと)で必要(ひつよう)な人(ひと)へ

NPO法人日本もったいない食品センター代表理事の高津博司さん
NPO(エヌピーオー)法人(ほうじん)日本もったいない食品(しょくひん)センター代表(だいひょう)理事(りじ)の高津(こうず)博司(ひろし)さん(写真(しゃしん):本人(ほんにん)提供(ていきょう))

学校(がっこう)などを訪(おとず)れ、食品(しょくひん)に関(かん)する講演(こうえん)も行(おこな)う高津(こうず)さん。賞味期限(しょうみきげん)切(ぎ)れの商品(しょうひん)を買(か)って食(た)べてもらうことも、啓発(けいはつ)活動(かつどう)の一(ひと)つだといいます。高津(こうず)さんは「賞味期限(しょうみきげん)切(ぎ)れの商品(しょうひん)におどろくお客(きゃく)さんもいる。そういう人(ひと)に『ぜひ食(た)べてみて』と声(こえ)をかけると、後日(ごじつ)『おいしかった』といってもらえる」とお客(きゃく)さんの変化(へんか)を実感(じっかん)。店(みせ)が食品(しょくひん)への知識(ちしき)ともったいないという意識(いしき)を高(たか)める活動(かつどう)の拠(きょ)点(てん)になっています。

また、仕入(しい)れた食品(しょくひん)を子(こ)ども食堂(しょくどう)などの福祉(ふくし)施設(しせつ)や、生活(せいかつ)に困(こま)っている人(ひと)たちに寄付(きふ)する活動(かつどう)も行(おこな)っています。宅配便(たくはいびん)で送(おく)るほか、店(みせ)に取(と)りに来(き)てもらうこともあります。

2024年(ねん)の1年(ねん)間(かん)で仕入(しい)れた食品(しょくひん)は、約(やく)3千トンに上(あが)ります。事業者(じぎょうしゃ)からは「どこも買(か)ってくれない商品(しょうひん)を、引(ひ)き取(と)ってくれるのはありがたい。食品(しょくひん)を捨(す)てるための費用(ひよう)が1千万円(えん)ほどういた」という声(こえ)も。お客(きゃく)さんからは「おいしさが変(か)わらない商品(しょうひん)を安(やす)く買(か)える」と好評(こうひょう)です。

高津(こうず)さんは「支援(しえん)の拠点(きょてん)にもなっているecoeat(エコイート)を全国(ぜんこく)各地(かくち)に出店(しゅってん)できれば、地元(じもと)で余(あま)っているものをたくさんの人(ひと)に届(とど)けることができる。余(あま)った食品(しょくひん)を、生活(せいかつ)に困(こま)っている人(ひと)たちに届(とど)ける、橋渡(はしわた)し役(やく)にしたい」と語(かた)りました。
※賞味期限(しょうみきげん)がすぎた食品(しょくひん)は大人(おとな)と相談(そうだん)してから食(た)べましょう。

賞味期限(しょうみきげん)切(ぎ)れのチョコ 記者(きしゃ)も食(た)べてみた!

賞味期限チョコレートを食べる記者
(写真(しゃしん):©朝日(あさひ)学生(がくせい)新聞(しんぶん)社(しゃ))

9月(がつ)下旬(げじゅん)に店(みせ)で、賞味期限(しょうみきげん)が8月(がつ)のチョコレートとペットボトルのお茶(ちゃ)を買(か)ってみました。どちらも、賞味期限(しょうみきげん)内(ない)に口(くち)にしたことがある商品(しょうひん)です。

中(なか)はとろっとしているこのチョコレートは、その食感(しょっかん)や味(あじ)に変(か)わりはありませんでした。お茶(ちゃ)も透(す)き通(とお)った色(いろ)で、いつも通(どお)りの香(かお)り。どちらの商品(しょうひん)も、賞味期限(しょうみきげん)が切(き)れていると言(い)われてもわからないほど、おいしかったです。

【授業(じゅぎょう)や教科書(きょうかしょ)では】先進(せんしん)国(こく)の食品(しょくひん)ロスと世界(せかい)の貧困(ひんこん)

中学(ちゅうがく)の「技術(ぎじゅつ)・家庭(かてい)」の家庭(かてい)分野(ぶんや)で、「持続(じぞく)可能(かのう)な食生活(しょくせいかつ)」をめざすねらいで、食品(しょくひん)ロスや食品(しょくひん)の廃棄(はいき)を学(まな)びます。あわせて、日本(にほん)の「食料自給(しょくりょうじきゅう)率(りつ)」がカロリー(熱量(ねつりょう))で計算(けいさん)した場合(ばあい)、40%を下回(したまわ)っていることも習(なら)います。

また、中学(ちゅうがく)の社会(しゃかい)の公民(こうみん)では、世界(せかい)の貧困(ひんこん)問題(もんだい)を取(と)り上(あ)げます。先進(せんしん)国(こく)で食料(しょくりょう)が大量(たいりょう)に捨(す)てられる一方(いっぽう)で、食料(しょくりょう)が足(た)りずに栄養失調(えいようしっちょう)や飢餓(きが)の状態(じょうたい)にある人々(ひとびと)が大勢(おおぜい)いることを学(まな)びます。

取材・文/大井朝加(朝日小学生新聞)

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