アメリカとイスラエルのイラン攻撃、世界のルール「国際法」で考えると?
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アメリカ(米国)のトランプ政権が、イスラエルとともにイランへ攻撃を続けています。一方的な攻撃に「国際法違反だ」という声が広がっていますが、トランプ大統領は米国と国民を守るためと主張しています。イランへの攻撃は国際法ではどのように考えられるのでしょうか。専門家である根本和幸さんに話を聞きました。
「イランの核開発問題は国連の枠組みで解決すべき」
米国とイスラエルがイランを攻撃している理由の一つに、核開発問題があります。
イランが核を持つことを強く警戒しているのがイスラエルです。イスラエルはイランが支援しているとされる、レバノンの武装組織ヒズボラなどとも敵対しています。そのため、「自国の安全のために、イランへ攻撃をしかけた」と根本さんは説明します。
「イランの核開発を止めたい」という考えは、米国も同じです。同盟国のイスラエルといっしょに、攻撃を始めたとみられます。
米国は脅威を取り除くための攻撃だと主張していますが、イランでは3月7日までに1300人以上が亡くなっています。大統領より強い権力を持つ最高指導者のハメネイ師も亡くなりました。これから国内の政治がどう変化していくか注目されています。
根本さんは、今回の攻撃について「国際法から見ると、正当化できない」と話します。「核開発の問題については、イランが国際的なルールを守ってこなかったことへの不信感もあります。しかし、その問題は本来、国際連合という国際社会の枠組みの中で解決されるべきことです。米国とイスラエルが国連を無視して攻撃したことは、国際法に反しています」
トランプさん「国際法は必要ない」
国際法 本来武力なしの平和を目指す
国際法とは、どのようなものなのでしょう。根本さんは「国と国の関係に筋道を立てるためのルール」と説明します。その基本のルールが書かれているのが「国連憲章」です。国連憲章では原則として武力を使うことやおどしを禁止しています。
「ただ、国際法には違反した場合に、強い力で取りしまるしくみが十分でないという特徴があります。そのため、ルールに反する行動があっても、すぐに止めるのが難しいのです」
トランプさんは「私には国際法は必要ない」として、米国の安全保障を目的に、1月にはベネズエラを攻撃。デンマークの領土(自治領)であるグリーンランドをほしがる発言もしています。

根本さんは「国際法は本来、武力をともなわずに平和を目指すものです。武力によって他国の指導者を変えたり、政権をたおしたりすることは、これまで紛争を減らそうと国際社会で話し合ってきた歴史を無視している」と指摘します。

日本・欧州 攻撃への意見さける
日本をはじめ、欧州各国が米国とイスラエルの攻撃に対して何か言うことをさけています。その理由の一つが安全保障です。多くの国が米国と同盟関係にあり、日本も日米安全保障条約のもとで米軍基地を受け入れています。「同盟国を非難することは簡単ではありません。自分の国の安全やエネルギー資源など、さまざまな利益が関わっているからです」
実際、中東の石油を各国に運ぶタンカーが通るホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで、石油やガスが運びにくくなり、日本ではガソリンの価格が上がっています。

ただ、根本さんは「国際法の視点を持って、日本は外交にあたるべき」と話します。「国際法はどの国も守るべきものです。同盟国だからといって攻撃を認めてしまえば、後になって同じような問題が起きたとき、『あのとき認めたのに、なぜ今回は認めないのか』と指摘されかねません。そうなれば、もし日本が反対の意見であったとしても主張が弱くなってしまいます」
国際法について、「守らなくてもいいなら意味がないと言われることもある」と根本さん。しかし、「193の国連加盟国に共通するルールは、国際法しかありません」といいます。「国際法は、世界の平和と安定のための『共通言語』です。国際社会の出来事は、政治や経済だけでなく、国どうしのルールにも照らし合わせて考えてみてください」

取材・文/鷲尾達哉(朝日小学生新聞)
(朝日小学生新聞2026年3月19日付)









