やる気スイッチを押すきっかけは、学ぶおもしろさに気づくことから(1)/子どもが伸びる家庭の10の習慣【第3回】
「子どもが伸びる家庭の10の習慣」第3回目は、子どものやる気スイッチについて考えてみたいと思います。
親に言われるとやる気をなくす一言は……「勉強しなさい」
小・中学生の子どもがいる方と話していると、「子どもが勉強をしなくて困る」ということが必ずと言っていいほど話題にのぼります。親にとって、子どもには勉強をして欲しいという願いはとても大きいですよね。
わたしも子育てをしてきましたから、その気持ちはよく分かります。
テスト前になるとなぜか良く寝る我が子に業を煮やして、「もう〇〇時だよ」と何度起こしに行ったことか……。でも、声をかければかけるほど、子どもは布団をかぶってしまったものです。
そんな子どもの行動を裏付けるようなデータが、すららネット株式会社「勉強に関する意識調査」※1にあります。
子どもが親に言われてやる気をなくす言葉の1位は「勉強しなさい」などの「勉強を強要する言葉」というもので、63.1%を占めています。他の調査でも、子どもが親に一番言われたくない言葉として、同じものが上がっているので、これは“鉄板NGワード”なんですね。
これに続く〝NGワード〟は、「〇〇ちゃんは成績上がったんだって」などの友人と比較する言葉と、「だからあなたはダメなのよ」といったけなし言葉。どちらも47.7%と高い数値です。
●「親に言われると、勉強のやる気を無くす一言は何ですか?」の回答(複数回答)
勉強するのはなんのため?
では、なぜわたしたち親は、子どもに勉強をして欲しいと思うのでしょうか?
「勉強をしないと、テストで点が取れなく、レベルの高い学校に入れない。すると、将来の可能性が狭まってしまう……」という現実的な理由を言う人もいます。
確かに、そういう一面もありますね。
しかし、勉強はテストのためにするものではないはずです。
わたしは、勉強は自分の視野を広げて、土台を作り、可能性を広げるためにするものだと思います。
好きなことを探究することで、勉強も楽しくなる!?
では、どうしたら子どもたちに学ぶ楽しさを教えることができるのでしょうか?
わたしは、体験の機会と、考える機会をできるだけたくさん作ることではないかと思います。
テーマはなんでもいいと思います。お子さんが興味を持っていることがあれば、それを取り上げてあげるといいでしょう。
「うちの子は、電車にしか興味なくて困っています」というお母さんがいましたが、わたしに言わせれば、それはすごいことです。
電車をテーマにして、ダイヤグラムのシステムについて調べることもできるだろうし、
時刻表を元に、旅を計画することもできます。電車という切り口から、様々な分野の学問につなげることができます。
好きなことなら、ちょっと難しいことでも、喜んで調べるかもしれませんよね。
親の仕事は、エサまきをすること
先日、開成中高の柳沢校長先生とお話をする機会がありました。先生も「何か夢中になることがある子は伸びる」とおっしゃっていました。いわゆる教科学習以外のことに夢中になっていると、勉強もしないで…と言いがちですが、その好奇心をフックにして深めたり広げたりできれば、力を伸ばすチャンスでもあるのです。子どもは何に興味を持つか分からないので、いろいろな世界を見せてあげる=エサまきをするのが親の仕事と言ってもいいかもしれません。
夏休みは、出かける機会も多いと思います。ぜひ、お子さんといっしょに行ったことのないところに出かけたり、やったことのないことに挑戦したりして、探究してみてください。
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