100万円の請求も!?お金の価値を知らない子どもの「金銭トラブル」回避する2つの方法
小学生になると始まる子どものお金の管理。最近は、インターネットを介した課金系の金銭トラブルが多発しています。
子どものお金をとりまく環境が大きく様変わりしているため、私たち親世代にとって経験のないことも多く、どう対応していいのか困っている方も多いのでは。今回は、ファイナンシャルプランナーの八木陽子さんに、「子どもの金銭トラブルを回避する方法」について教えてもらいました。
ネット決済は甘~い罠?イマドキ小中学生の金銭トラブル事情
保護者の方から寄せられる、子どものお金に関する悩みはさまざまです。「親の財布からお金を拝借した」「友達に奢る、奢られた」など昔ながらの相談もありますが、ここ数年で圧倒的に多いのが「課金」に関する金銭トラブル。
特にスマホのゲーム内課金は、非常に多くの親御さんが困っている印象です。メッセージアプリで使うスタンプなどの購入もそう。
一つひとつを見れば小さな金額だという点が、これらの落とし穴です。大金を使っている感覚がないまま、欲しいものを次々と購入しているうちに、いつのまにか大きな額の請求が来るというケースが多発しています。
信じられないかもしれませんが、ライブ配信の投げ銭(視聴者が配信者に対して、金銭やギフトなどを送ることができるシステム)で100万円近く使ったという話もありました。
「キャリア決済はお金がかからない」と思っている子どもが意外に多いんですよ。本人の財布は痛まず、欲しいアイテムが手に入る。当然、「お金を払っている」感覚は皆無です。
未成年でクレジットカードを持っていなくても、簡単に後払いにできるサービスなど、ネット上で決済が完結する支払いシステムの罠は今後もどんどん増えていくでしょう。
インターネット決済による「金銭トラブル」回避のための2つのポイント
これらの問題点は、子どもにとって「お金を使うという感覚が抜け落ちている」ことです。
子どもの金銭トラブルを防ぐためにできることは、意外とシンプル。家庭でこつこつとお金の教育を続けていくことが大切です。
お小遣い制を導入して、お金の管理を体験する
ルールを決めても際限なく課金してしまったり、ネット上でどんどんお金を使ってしまったりしないために、まずはお小遣い制の導入をおすすめします。
すでにお小遣い制を取り入れているご家庭では、今一度お金の流れを書き出して、子どもにお金は使ったら減るという点を説明して把握してもらいましょう。
毎月のお小遣いが1000円なら、その1000円の中で自分が欲しいものを取捨選択しなければいけません。1000円で足りなければ翌月まで我慢して、2000円の中で購入する。
ここで大事なポイントは、現金を持って、自分で支払う体験です。自分が使えるお金には上限があること、子ども自身でお金を管理することに大きな意味があるのです。
お金について親子で話す機会をつくる
同時に、親子でお金に関する話を積極的にすることも大切。小さい頃からお金に関してオープンに話ができている家庭は、高校生や大学生になってからの金銭トラブルが少ない傾向にあるんですよ。
銀行にお金を預ける仕組みはもちろん、クレジットカード払いや電子マネーの支払いシステム、先程も話題にあがったキャリア決済についても、具体的な例を挙げながら親子で確認するといいですね。
お金は無限に湧いてくるものではないことが理解できていれば、たとえ親の目が届かなくなったとしても、無茶な使い方はしないはずです。
お金に対する感謝の気持ちも、金銭トラブル防止につながる
ゲーム課金や投げ銭しかり、後払いサービスしかり、親よりも子どもたちの方が新しい情報をキャッチするのが早く、巧みに使いこなしていきます。
そのスピードについていこうと先取って知識を身につけていくのは、日々忙しく過ごす保護者にとってハードルが高いもの。
対応策を難しく考える必要はありません。まずは、お小遣い制度を取り入れ、親子でお金の話をすることから始めて、一緒にお金の使い方を考える時間を作ってみてはいかがでしょうか。
それから、お年玉やお祝い金をもらった際は、お礼状を書いて感謝の気持ちを伝える、大切にお金を保管するといったことも、ぜひお子さんに伝えてほしいですね。
「自分がもらった目の前のお金は、送り主である両親やおじいちゃんおばあちゃんが一生懸命働いたからこそある。それを自分はいただいた」という感謝の気持ちが持てれば、自ずと金銭トラブルも減ってくると思いますよ。
取材・文/水谷映美 編集/石橋沙織