CEFR(セファール)英語の4技能のレベルを測る国際基準/知っておきたい教育用語のトリセツ【第11回】
小学校での英語教育の必修化が決定し、英語教育への関心がさらに高まっています。その内容も、4技能(聞くこと、話すこと、 読むこと、書くこと)の育成が求められるようになり、大学入試では外部の検定試験を採用する動きが広がっています。そこで「知っておきたい教育用語のトリセツ」第11回目では、英語力を図る世界的な指標について解説します。
CEFR(セファール)とは、外国語を学習する人の言語能力を表す指標のことで、欧米を中心に広く使われている国際標準規格です。レベルは A1、A2 、B1、B2、C1、最高レベルのC2に分けられています。CEFRは、20年以上にわたる研究を経て作られた指標で、ヨーロッパでは、国によって、CEFRの「共通参照レベル」が、初等・中等教育での英語教育の指導目標として使われています。
それぞれのレベルの定義と、英語に関する主な検定試験のスコアとの対照は下記の表のとおりです。
実際、全国の高校3年生約7万人を対象にした調査(*1)でも、平均がA1レベル、実用英語技能検定(英検)に換算して中学校卒業程度の3級以下と判定されました。A1レベルは日常的な内容や個人的な事項について話せる程度の能力で、中学生レベルです。しかも、「書くこと」は無回答者(0点)が29.2%、「話すこと」では13.3%という結果が出ています。
この結果からもわかるように、日本の英語教育は、4技能すべてにおいて課題があるうえに、とくに「話すこと」「書くこと」について課題が大きいということがわかります。
なぜそうなるのでしょうか。
その一因として、とくに大学受験が、英語4技能(聞くこと、話すこと、 読むこと、書くこと)のうち、「読むこと、聞くこと」の2技能に偏っているからだと言われています。そのため高等学校の授業において、4技能のバランスが取れた指導を行ないづらいというのです。
こうした状況に対して、大学を対象にした調査では、受験で英語4技能を測定すべきだと思うけれど、独自で実施することは難しいという意見が多くを占めるという調査結果(*2)もあります。
そこで、2020年の大学入試改革では、英語は外部検定試験の活用を含め、4技能テストとすることが提言され、改革に先駆けて英検などの外部検定試験の活用を実施している大学も増えています。
最近は海外の大学進学にも関心が高まっていますが、世界の主要な大学に留学するためには、英語4技能に関して、TOEFL iBT(*3)やIELTS(*4)での能力の証明が必要となります。
世界的な流れもふまえて、今後大学入試や高校入試の英語力評価に、さまざまな4技能テストの活用が広がることになれば、その能力を測る国際基準として、CEFRがいっそう活用されるようになるでしょう。
CEFRのポイント
- CEFRとは、外国語を学習する人の言語能力を表す指標のこと。
- レベルは A1、A2 、B1、B2、C1、最高レベルのC2に分けられている。
- 国内で行なわれているさまざまな英語検定のレベルを測る国際標準の指標として、CEFRが使われている。
- 英語の4技能(聞くこと、話すこと、 読むこと、書くこと)を育成するために、大学入試で外部検定試験を利用する動きが広がっている。
*2)公益財団法人 日本英語検定協会「全国の主要国公私立大学の入試関係者100名に大学入試についての緊急調査」
*3) TOEFL iBT の特徴 英語4技能試験情報サイト
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