毎日の洋服選びが子どもの考える力を育てるカギ!?/子どもが伸びる家庭の10の習慣【第5回】
最近は気候の変化が激しいですね。
この夏も、なんども突然の豪雨に襲われ、ほんとうにびっくりしました。
だんだん四季の変化もあいまいになっているようで、夏制服と冬制服の変更は、以前は6月1日と10月1日に一斉におこなわれていましたが、いまはそのときの気候に合わせてどちらを着てもいい猶予期間を設けるなど、臨機応変な対応をする学校が増えています。だんだん、衣替えといった古来の習慣も変わっていくのかもしれませんね。
さて、今回のテーマは衣。毎日の洋服選びが、いま求められている力を養う機会になっているというお話です。
お子さんは、毎日着る服を自分で選んでいますか?
みなさんのお子さんは毎日着る服を自分で選んでいますか? それともお母さんが選んであげていますか?
以前、「子どもに任せると真冬でも半ズボンとTシャツを着ていくので、わたしが用意しています」というお母さんや、「子どもに任せていたら、プールのある日にうしろファスナーの洋服を着ていって着替えに苦労したみたい。やはりわたしが選んであげたほうが良かったのでは」というお母さんがいました。
どちらもありがちですよね。
みなさんだったらどうしますか?
親が選んだものを着ていれば、寒い思いもしないでしょうし、着替えに困ることもないでしょう。子どもも考えなくていいので楽かもしれません。でも、もしずっと親が選んであげていたら、どうなるでしょう?
大人になれば急に、その日の気候や出かける先に合わせて、着る服を選ぶことができるようになるでしょうか?
わたしはそうは思いません。
ときには失敗をしたとしても、子どものころから自分で選ぶという経験を繰りかえしていくことで、TPOに合わせた洋服を選ぶことができるようになるし、センスも身につくのだと思います。
その行為は、ヘルプ? サポート?
「飢えている人がいたら、魚を釣ってあげますか? 魚の釣り方を教えますか?」これは、コーチングを子育てに取り入れたプログラムを提供しているNPO法人ハートフルコミュニケーションの代表・菅原裕子さんの著書『子どもの心のコーチング』(PHP文庫、2007年)に出てくる一節です。
菅原さんは、魚を釣ってあげる行為はヘルプ、魚の釣り方を教えるのはサポート。自分一人では生きられない赤ちゃんはヘルプを必要とするので魚を釣って与えるが、子どもの成長に合わせて、子ども自身が自分で生きていけるように魚の釣り方を教え、自立に向けてサポートするのが親の役割だといいます。
確かに、わたしたちはついつい子どものためと思って、子どもが困らないように世話をしてしまいます。でも、それでは子どもはいつまでたっても自立できませんね。
では具体的にどうすればいいのでしょうか?
「寒いから上着を着ていきなさい」というのではなく、「今日は寒くなるって。なにを着ていく?」と子どもが自分で考えられるような質問をすることです。
その結果、もし寒い思いをしたとしても、そこで「次にこのくらい寒い日には上着を持っていこう」と学ぶかもしれません。こうして失敗を繰り返すうちに、自分で考える力をはぐくんでいくのです。
考える力は、家庭生活の中で育つ
中学校でよく聞くのが、宿泊行事で帰りの荷物を入れられない生徒が必ずいるという話。旅行の荷物ってただでさえ帰りはかさばるものですが、服のたたみ方や入れ方がわからず、適当に突っ込むので、収まらなくなってしまうのです。こういう生徒の家庭では、子どもの代わりに親が荷造りをしていることが多いそうです。
だから、「準備は子どもにさせるように、親ごさんに伝えています」と先生。
いま、「思考力・判断力・表現力」を育てる教育改革が進められようとしていますが、実はその種は家庭の中で育てられるのではないでしょうか?
お子さんの考える力、育っていますか?
参考文献
『子どもの心のコーチング―一人で考え、一人でできる子の育て方 』(PHP文庫)
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