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「子育てが楽しくなる小さなヒント」① ガーデニングが子どもに与えてくれるもの

「子育てが楽しくなる小さなヒント」① ガーデニングが子どもに与えてくれるもの

学研キッズネット編集部と元保育園園長で、現在「花まる子育てカレッジ」のディレクターである井坂敦子さんがタッグを組んで、音声プラットフォーム『Voicy』を使って配信中の番組、「コソダテ・ラジオ」。月曜日配信のトークテーマである「子育てが楽しくなる小さなヒント」の内容を、いつでもお読みいただけるようにこのたび記事化することになりました。 さて、第1回目のお話は?

metamorworks/Shutterstock.com

朝が苦手な子どもでも、お楽しみがあれば・・・

お子さんを毎朝起こすの、大変ですよね。保育園の園長をやっていたころ、花の水やりをお手伝いでお願いしたら朝起きる習慣がついた、という話を聞いたことがあります。私自身も子どもにお願いをしたら、とても喜んで毎朝水やりをしてくれた思い出があります。

我が家には庭がなく、ベランダのプランターにいろいろ植えて楽しんできました。トマトやナスなどの夏野菜は、とてもよく実をつけてくれて成功率が高いです。また、冬から春にかけて育てるイチゴも割と丈夫で育てやすいんですが、うちでは小さな白いイチゴができ始めると、鳥がやってきて食べてしまうんです。結局、赤く熟したイチゴが自分の口に入ったことがないんですが、まあそれでも、鳥が来てくれて食べているのも楽しいな、と思ってやったことがあります。

いろいろ育ててきましたが、その中で、子どもと一緒に育てるのにおすすめなものが2つあります。

初心者におすすめの野菜は?

1つ目がラディッシュ、二十日大根です。二十日という名前がつく通り、種をまくと、どんどん大きくなって、本当に20日ぐらいでラディッシュが収穫できます。

春にまいて、暖かくなるにつれぐんぐん伸びていくので、子どもが飽きずに毎日水やりを楽しんでくれます。子どもはせっかちなので、ゆっくり育つものは忍耐力が続かないのですが、ラディッシュは毎日成長を感じられるところが子ども向きなんです。

土の中の根っこの赤い部分を食べてるんだということを、育てて収穫することで理解できますし、赤い大根を切ると中は真っ白なので、それが「かわいい」という子どももいます。赤い大根をお酢に漬けると、色がさらに鮮やかになって、少し時間を置くと全体が赤く染まって、白い部分もピンクになって、とてもかわいい見た目になります。

植物がどんどん成長していくという喜び、実を収穫するワクワク感、採れたてのみずみずしさ。普段、野菜が嫌いな子どもも不思議と食べてくれたりしますので、食育にもおすすめしたいのがラディッシュです。

Vitalii M/Shutterstock.com

育てやすくて、枯れたあとも楽しいものは?

もう1つのおすすめは、綿(わた)、コットンです。クリスマスシーズンに、お花屋さんでリースの飾り付けなどで目にする機会があるかもしれませんが、普段はあまりお目にかかれません。実は、あんまり肥えてない土地でも栽培できるとても丈夫な植物で、種から育てることができます。

夏に比較的大きな花が咲き、子どもはとっても喜びます。しっかり「お花が咲いた」っていう感じがしますので、つぼみができて膨らんで開いたっていうのが、本当に子どもにとってわかりやすい植物なんです。

それが冬となると、立ち枯れて、お花の部分に綿ができます。ぱかっと割れた中に白い綿が詰まっている状態のものが本当にできるんです。

植物から作られたものを暮らしの中で見つける

それを摘んで撚(よ)ると綿(めん)糸になるわけです。その綿糸で、普段着ているシャツやハンカチができている、ということを眼の前で見せてあげられる。自分が育てた植物がそういうものになるんだということを体験させてあげると、とても深く印象に残るんです。「元は何からできているんだろう?」という発想の土台みたいなものになります。

綿を育てている最中も、子どもから「これは綿なの?」「これも綿でできているの?」とよく質問されました。「これは綿だけど、こっちは綿じゃないよ」と、洋服を触りながら幼稚園のときによく話していた思い出があります。

ウールなら「これは羊の毛でできているんだよ」という話をしたり、麻の布は、「麻っていう別の植物なんだよ」という話ができます。そうすると、自分の生活の中で使っているものが、どういうところからやってきたかということを知るきっかけになります。「学ぶ」ことへの最初のとっかかりとして、家庭で子どもとなにかを育てるということは、知的好奇心を養う意味でも、とても有効かなと思っています。

いつも食べているものの正体を知ってる?

ほかにも、「大豆が味噌の原料だよ」っていうことを知っているお子さんは多いかもしれません。でも、枝豆が熟して乾燥したものが大豆だよっていうことを、意外と子どもは知らなかったりします。

枝豆の種をまいて、枝豆のまま食べてもいいのですが、食べずにそのまま完熟させて、枯れたカラカラの状態にしてみるのもおすすめです。それで採れた大豆を煮豆にしてみたり。

味噌を作るのは大豆が大量に必要になるのでなかなか難しいですが、大豆ができるまでがわかると、お味噌とかお豆腐、お揚げとかが「豆一粒をまいて、枝豆ができて、カラカラの大豆になる。それが色んな形に変わっておいしく食べられている」という一連の流れを知ることになると思います。

春は、いろいろな植物の種をまいたり植え始めるとってもいい時期なので、お子さんと「伸びたね~」などと言いながら、お世話を楽しんでいただけたらいいのではないかと思っています。

 

話し手/井坂敦子 構成/清野 直

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▼井坂敦子 プロフィール

慶應義塾大学→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営  英国留学中高校生女子とボーダーコリー3頭の母

中学校高等学校教諭一種免許状(国語) 保育士 食育カウンセラー 表千家師範

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学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっとへんしゅうぶ)

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