小学生の「書く力」をサポート!きれいな字が書ける「ザラザラ下じき」の魔法とは?/後編
「文房具総選挙2022」で、今年からあらたに設立された学研キッズネット賞を受賞した「先生おすすめ 魔法のザラザラ下じき」(レイメイ藤井)。 前回の記事では、開発の背景にある子どもたちの「運筆力」について、株式会社レイメイ藤井、商品企画室・開発一課の江向さんにお話を聞きました。
いったいどうして「ザラザラ下じき」を使うと、字がきれいに書けるのか? 商品名にもある「魔法の秘密」に迫ります。
療育現場で使われていた「紙やすり」がヒントに
子どもたちの書く力をサポートしてくれる「ザラザラ下じき」は、その最大の特徴でもある、ザラザラした手触りこそが、いちばん大事なポイントなのだとか。
ヒントになったのは、子どもたちの「書く力」の現状をさぐるべく、調査を進める中で伺った療育現場の声。
字を書くための学習支援として、紙やすりを下じき代わりに使っていたのだそうです。
「療育の観点から見てもツルツルした下じきは文字がすべって書きにくく、特に学習支援が必要な子どもにとって、大きな問題になっていることを知りました。
だから、紙やすりよりも安全に使えて、字を書きやすくサポートするものが必要だとより感じたんです。
私たちが開発した『魔法のザラザラ下じき』は、鉛筆で書くときにすべらないように、ザラザラしたドット状の突起を特殊印刷加工しています。
ドットの大きさは、透明タイプが0.6ミリ、カラータイプが0.3ミリの2種類。ひらがなの曲線が書きやすいようドットの配列も工夫しています。
開発時は、どれくらいの大きさにすれば、子どもたちが書きやすくなるのかがわからなくて、いろいろな大きさを試しました」(江向さん)
字がきれいに書ける!「ザラザラ下じき」魔法の秘密とは?
私たちは、字を書く際、書きたい字のイメージを頭の中で思い浮かべます。
しかしながら、整った字を書くためには、頭で思い描いたイメージに合わせて手を動かす「運筆力」も、重要だと江向さん。
「ザラザラ下じきを使うと、字を書くときに抵抗力が生まれて、その振動が手指に伝わります。その振動が体感できると、脳と手がより連動しやすく、イメージ通りに手を動かせるようになるのです。
鉛筆がすべりにくいというのも、もちろんそうですが、これがきれいな字が書ける魔法のしくみです。
商品名は、実際に使った子どもたちの『魔法みたいにきれいに書ける!』という声をそのまま生かしているんですよ」(江向さん)
特に、おすすめなのは、丁寧に字を書く硬筆や書写の時間。また、普段早書きしてしまう子どもたちにも、試してみてほしいと話します。
「ただし、算数の筆算など、書くスピードが求められる場面には、あまり適していません。 そこで、片面はザラザラ、もう片面はツルツルにして、使い分けられるようにしています」(江向さん)
子どもたち目線を大切にした「使い心地」
サイズ展開はA4とB5の2種類。ノートだけでなく、漢字ドリルなどの学習教材に合わせて選べるようにしました。下じきが小さすぎても、大きすぎても書きにくくなってしまうという理由があるからです。
「カラータイプは、子どもたちが楽しく学校に持っていけるようにという願いを込めて色味を決めました。
ほかにも、『ザラザラしているけれど一般的な下じきに見える』という点も大切にしています。
あとは利便性ですね。定規やマス目ガイドのほか、忘れ物として迷子になってしまわないように記名欄もつくっています」(江向さん)
ちなみに、ドット0.3ミリのタイプは、大人がボールペンを使う際も書きやすいのだとか。 親子でいっしょに使えるのも嬉しいポイントかもしれません。
多様性のある「下じき」の中からマイベストを見つけよう
私たち一人ひとりに個性があるように、下じきにも多様性があると江向さんはいいます。
「ザラザラ下じきにも、ドットの大きさやサイズ、カラーといった違いがあるように、世の中にはさまざまな下じきがあります。
肉厚でクッション性があるもの、デザインがすてきなもの…どんな下じきがあるのか見つけてみるのも面白いかもしれません。
もし、使いにくいという理由で、下じきを遠ざけている子どもたちがいたら、ザラザラ下じきだけでなく、ぜひいろいろなものを試してみてほしいと思います。
大切なのは、自分に合う下じきを見つけること。ぜひ、マイベストを見つけて、文字を書く楽しさを知ってもらえたら嬉しいです」(江向さん)
普段何気なく使っている下じきも、視点を変えて眺めてみると、新しい発見があるかもしれません。
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取材・文/石橋沙織