GWは外遊びへGO! 子どもが「自然」や「旬」に触れ合う効果【コソダテのヒント】
元保育園園長で、現在子育てや教育関連の講演会を配信している「花まる子育てカレッジ」ディレクター井坂敦子さんによる連載です。音声配信Voicy『コソダテ・ラジオ』の「子育てが楽しくなる小さなヒント」を読みやすく記事化しております。ぜひお楽しみください。
自然の中で遊ぶことが、学びになる
子育てや教育の講演会を伺っている中で、多くの先生から聞く言葉があります。それは、「遊んでいたら、能力が自然に身につく」というもの。
子ども、特に幼児期は、屋外、自然の中で思い切り遊ぶことが大事で、石や木の枝、川の水、虫に花……そうしたものを触ったり、観察したり、集めたりして、外にいるだけで無限に遊びを発明していきます。
自分の好奇心を満たしてくれるものにどんどん突き進み、楽しく遊ぶ。その遊びこそ、いろいろな能力を獲得することにつながる、というお話をよく聞くのです。
その子の好奇心を満たすもの。たとえば、石を積んで川の流れを止めてみる子もいれば、川の中に飛び込んでバシャバシャするのが好きな子。水圧を感じて面白がる子もいれば、いろいろな葉っぱを流してみる子がいたり。川に行っただけでも、子どもたちは自分でさまざまな遊びを考えて実行します。
そうした中で、「川の流れがゆるいところと速いところがあるな」や、「大きい石を入れるとドボンと音がするけど、ちっちゃい石だと音がしないな」など、いろいろなことを感じ取って、試してみるということを繰り返します。そうして遊んでいるうちに、気がつくと「これから教科の中で学ぶ様々なこと」、そこにつながる“実感”を得ているんですね。
「栄養は、自然とあとからついてくる」
「遊んでいたら、能力が自然に身につく」とつながるなあ、と思える言葉を、料理研究家の土井善晴先生がおっしゃっていました。
以前、俳句番組に出演されていたとき、「夏料理に 野暮な栄養 論議かな」という句が選ばれ、俳人の方と土井先生が論評する中で、こんなことを口にされたのです。
「夏のもの、旬の素材を使っていたら、もうそんな栄養の事なんて考えなくても、栄養はあとから十分ついてきますよ」
旬のものは、野菜にしろ魚にしろ、味もおいしくて、栄養も充実しています。それにたくさん収穫されるので、お値段もお手頃。
初夏なら「鮎の季節だな」、「ナスがおいしくなってきたな」というように、季節を感じながら素材の旬に沿ったものを、無理せず手に取って食べる。手の込んだ調理をしなくても、シンプルに料理するだけでおいしいですよね。
「そういうものを食べていたら、いろいろ難しく考えなくても、栄養はあとから身についてきますよ」というようなことを土井先生がおっしゃっていて、「なるほどな」と思いました。
先ほどの、「遊んでいたら、能力が自然に身につく」とこの言葉がシンクロして、「自然の恵みである旬のものを食べることで、おのずと栄養がついてくるし、子どもも自然の中で好奇心を満たす遊びをすれば、それが学びになる」と、私の中でつながったのです。
大人は難しく考えず見守って
ついつい親は、栄養の事を考えて「体にいいものを効率よくとらせたい」、「バランスよく食べて成長を促したい」というふうに思ったり、情報に振り回されて考え込んでしまったりということがあるように思います。
そうしたことがまさに先ほどの俳句に詰まっていて、外遊びをする子どもを見ながら、「この遊びはどういう意味があるのかな?」、「もっとためになるような遊びはないかな」などと論議したり考えたりすることにも似ているように感じました。
親のできることは、子どもが好奇心をもって遊べる場所、そうした環境に連れ出してあげることくらい。そして、遊んでいるときに危なくないように見守ってあげることぐらいしか、じつはできないのではないかと思います。
自然から学ぶことはたくさんあります。先人たちも、自然のいろいろな現象を観察し、今に伝わる法則や定義を発見してきました。その発見されたことを学ぶことも学習ですが、自ら発見することも大切です。
今はまだ幼い子どもたちの中に、将来の科学者や発明家がいるはずですから、保護者の方には、子どもたちの熱中を「野暮な論議」で邪魔しないで、ただ見守ってあげてほしいなと願います。
話し手/井坂敦子 構成/清野 直
井坂 敦子(いさか あつこ)さん
中学校高等学校教諭一種免許状(国語) /保育士/食育カウンセラー/表千家師範
慶應義塾大学卒業→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →「花まる子育てカレッジ」にて年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営。Instagramやブログ「わが家の小学校受験顛記」も好評。英国留学中の高校生とボーダーコリー3頭の母