海外では常識!? 子どもの自主性を伸ばす声かけ・NGな声かけ【コソダテのヒント】
元保育園園長で、現在子育てや教育関連の講演会を配信している「花まる子育てカレッジ」ディレクター井坂敦子さんによる連載です。音声配信Voicy『コソダテ・ラジオ』の「子育てが楽しくなる小さなヒント」を読みやすく記事化しております。ぜひお楽しみください。
子どもに命令口調で指示していませんか?
以前、環境活動家の谷口たかひささんに、私がディレクターを務める「花まる子育てカレッジ」で講演会をしていただいたときのこと。気候変動と子どもの自己肯定感に深い関わりがある、というお話の中で、心に残ったことをお伝えしたいと思います。
それは、子どもに対して「親友に対するように話しかけてみよう」というものです。
親が子どもに「早く寝なさい」と言うことはよくありますよね。夜遅くまで起きていると、朝起きられなくなったり、体調不良になったりと、困ります。とにかく早く寝かせたいと、「早く寝なさい」と言うのは普通のことでしょう。
けれど、谷口さんは「それは違うのではないか」とおっしゃいました。子どもの自己肯定感を損なわないためには、子どもに対して親友に話しかけるように言葉をかけることが大事だと言うのです。
親友に対して、「早く寝なさい」などと命令口調で言うことはないですよね。「早く寝たらどうかな?」などと、やさしい声かけになると思います。
「早く寝てほしい」という気持ちは悪いことではありませんが、子どもの人権を考えるとき、トップダウンで指示命令をする、強く命令する、というのは違うのでは、というお話でした。
親友に対するように、丁寧に……
その話を聞いたとき、「たしかに、親友には『早く寝なさい』なんて絶対に言わないな」と思いましたし、我が子に対して丁寧に気遣う、ということができていなかったな、と我が身を振り返りました。
これは、すべての声かけに当てはまります。子どもには、「好き嫌いなく食べなさい」、「片付けをしなさい」などと強く言ってしまうかと思いますが、親友にだったらなんと言うでしょうか?
「好き嫌いなく食べたほうがいいんじゃない?」、「ちょっと片付けたほうがいいかもしれないね」などと、言い方が変わってくると思います。言い方が変わることによって、子どもは自分で考え、「ああ、そうだな」と納得して行動したり、逆に「やらなくてもいいのでは」と行動しなかったり、ということが起きます。
どちらにしろ、子ども自身が考えて選択をして、その選択によってマイナスになることがあっても、それも含めて経験した上で、「ああ、やっぱりこうすればよかったな」と学んでいくことが大事、と谷口さんはおっしゃっていました。
外国では、子どもに選択させる
子どもに選ばせる、考えさせる、というのはなかなか難しく感じますが、外国などでは当たり前に行われているようです。
谷口さんはイギリスで、我が子に対して、親友に話しかけるように「これはどうする?」と聞いたり、選択をゆだねたり、という親御さんをよく見たそうです。
子育てのスタイルは自分自身の経験が大きくて、親から命令されるように育ってきていると、それが当たり前と思い込んでしまい、同じような子育てを繰り返してしまいがち。
ですが、お子さんの自己肯定感や考える力を育むためにも、「命令口調になっていないかな?」と気にかけていただけたら、うれしいです。
話し手/井坂敦子 構成/清野 直
井坂 敦子(いさか あつこ)さん
中学校高等学校教諭一種免許状(国語) /保育士/食育カウンセラー/表千家師範
慶應義塾大学卒業→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →「花まる子育てカレッジ」にて年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営。『入学後の学力がぐんと伸びる 0~6歳の見守り子育て』(KADOKAWA)が9月22日発売。Instagramやブログ「わが家の小学校受験顛記」も好評。英国留学中の高校生とボーダーコリー3頭の母