算数の“図形”が得意になるには？　平面から立体を作ってみよう！【コソダテのヒント】

算数の「計算」問題は得意なのに、「図形」の問題は苦手、というお子さんのお話を、小学生の親御さんからよく聞きます。パズルが苦手、というお子さんもいますよね。

こうした図形が苦手な子への特効薬は、とにかく遊びの中に図形にまつわるものを忍び込ませていくこと。

たとえば、簡単な迷路や三角形を組み合わせるだけの積み木のようなものから始めてみると、抵抗感がなくなる場合もあるのです。

小学校受験では、下が丸くて上がとがっている円錐や、下が三角形で上がとがっている三角錐、茶筒のような円柱など、いろいろな立体を開いて展開図にしたものに線を引くような問題がよく出ます。

小学生以上になると、「この展開図はこの見取り図（立体の状態がわかる図）ですよ」というふうに暗記して覚えてしまう方法もありますが、小学校受験の場合は幼稚園児・保育園児ですから、暗記はまだ難しくできません。

では、どうしたらよいのでしょうか？　それは、覚えるのではなく、実際に手を使ってつくること。展開図が印刷されたドリルなどがありますので、そうしたものを使って、ハサミでチョキチョキと線に沿って切っていく。点線のところを折って、のりでくっつけていくと、サイコロのような立方体や円錐、円柱などができあがります。

手を使ってゆっくりハサミで切ったり折ったりしていくと、教えなくても、「あ、これがこういうふうになるから、こういう立体になるんだ」と体で感じて、わかるようになるものです。

立体をつくったあとにクレヨンなどで絵を描いたりすると、さらに楽しくなります。長方形で囲まれた直方体ならビルに見立ててみたり、円錐形だったら塔に見立てたり。「ビルや塔の中には、誰が住んでいるかな？窓があるかな？」「どんな壁がいい？レンガかな？」などと言いながら絵を描いていきます。

子どもたちの自由な発想の中で、いろいろな動物が住んでいるマンションになったり、宇宙基地になったり、それを友だちと一緒に並べて大きな街をつくったり……。お人形やお人形のベッドをつくってみたりと、着せ替え人形やごっこ遊びのパーツになったりもします。

そんなふうにして遊ぶと、立体をつくるというお勉強的なことから始めたことが最終的にはごっこ遊びの材料になって、とても楽しい時間を過ごしてくれるものです。

いったん、そうして自分の手でつくったことがあると、お散歩やお出かけで街中に出た際に、「屋根って三角形と三角形で、できているね」とか、「ビルって、この前つくったのと同じ形だね。窓もいっぱい並んでいて、そっくりだね」などと、話が弾みます。

身の回りに立体物はたくさん溢れていますから、大きいものだけでなく、たとえばソフトクリームのコーンを見て、「この前つくった形と同じだね。なんで円錐になっているんだろう？　持ちやすいからかな」といった会話が広がることもあるでしょう。

「勉強の図形」と考えると、難しくて得意な子だけが好きなもの、と思ってしまいがちですが、遊びのように楽しく学べば苦手な子でもすんなり親しめますし、長く子どもの心に残るものです。図形に目が向くきっかけとして、ぜひお試しください。

話し手／井坂敦子　構成／清野 直