Case 32 受験だからSNSやめます!/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~
受験のためにあきらめるのは、部活と恋……そしてSNS!
受験のためのキッズケータイ
最近聞いた話です。
知りあいのお子さん(高校3年生)が突然、キッズケータイが欲しいと言いだしました。
そのお宅では、大学になるまでスマホは持たせない方針で、現在はガラケーを使っています。そのガラケーをわざわざキッズケータイに買い替えたいというのです。なぜかと親がたずねると、ふつうのケータイに比べてゲームやSNSの使用に制限がかかるから受験勉強の邪魔にならなくていい、と答えたのだそうです。
お子さんいわく、
「TwitterやLINEは、通知が来るとどうしても見たくなっちゃうから」
だそう。
でも、TwitterやLINEを完全にはやめたくない、そこでキッズケータイなのです。
キッズケータイは、機種や設定でも変わってきますが、TwitterやLINEといったSNSやゲームやメールができなかったり、できることが限定されたりします。
さらによくよく聞いてみると、お子さんにはキッズケータイを使いだした友だちがいて、カッコイイから自分もやりたくなったというのです。
キッズケータイにどれほどの効果があるのか、結果は半年先までわかりませんが、そのお子さんの意気込みはなかなかのものに思えます。
「勉強の邪魔」のシンボル、新たに誕生
わたしが学生のときは、勉強に専念するためにやめるのは、部活やテレビ、あるいは恋愛と相場が決まっていましたが、いまや「勉強の邪魔」のシンボルの座は、ケータイ・スマホに奪われてしまったようです。
たしかに、友だちとSNSでやりとりをしたり、ゲームをしたり、YouTubeを見たり……と誘惑がいっぱいのケータイ・スマホは、最強の邪魔者です。しかも自分がケータイ・スマホを見るのをがまんしていても、外からの誘惑を受信して次々に知らせてくるというタチの悪さです。
知りあいに、浪人したときに自分でケータイを解約して受験に専念したお子さんがいました。これほどの荒療治ではなくても、ケータイ・スマホからLINEやTwitterを取り除いてしまわないと、自分の意志でがまんするのは難しい……、そんなふうに子ども自身が感じるほど、SNSは子どもたちの自由時間を支配してしまっていると言うこともできるでしょう。
しかしその誘惑に対抗するためにあえて不便な機種にするとは、子どもたちも考えたものです。いまにケータイキャリア各社も「受験ケータイ」や「高校3年からの勉強応援モード」など、受験向けの低機能を打ち出すようになるかもしれません。
ただし、親側からそんな機能をすすめても、子どもたちがうまく乗ってくるとは限りません。このエピソードのお子さんも、単に誘惑を減らしたいだけでなく、自分の決断でSNSを制限しているという達成感を味わい、機種を変えることで受験に立ち向かう決意を友だちと共有したいのです。
受験期のSNS断ちがカッコイイこととして、このまま子どものあいだで流行してくれることをついつい期待してしまうわたしです。
一方、子どもにそんなふうに受験をがんばる宣言をされた親は、わが子の決意に安心するかと思いきや、「すぐスマホに買い替えることになるのに、いま新しいケータイは買いたくない」と喜んでばかりもいられない様子です。親の苦労は尽きないものだなあと同情してしまいました。
さて、わたしはこれからドラマやマンガの学園もので、「わたし、受験勉強に専念するからTwitterやめる!」というセリフがいつ出てくるか、興味深く見守っていこうと思います。
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