Case 35 リツイートするその前に/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~
「おもしろいから」「みんなリツイートしてるから」で、知らず知らずに加害者になってしまうことも……。
おもしろいけどリツイートしていいの?
娘のユカは、おもしろネタや大喜利が大好きです。わたしとユカは相互フォローしているTwitterアカウントで、おもしろいツイートをリツイートして教えあっています。
先日もユカのイチオシおもしろ画像のリツイートがありました。アイドルファンが土下座する姿をポカンと見ている通行人の写真です。しかし、これを見てわたしはユカに言いました。
「これはとても楽しいけどね、ママはリツイートしないよ。この画像は、他人のことを、土下座がおもしろいから、表情がおもしろいからって勝手に公開しているでしょう。この人たちは無断でネットにさらされちゃっているんだよ」
ユカは、しまったという顔をしました。自分が公開する画像では他人の写りこみに注意しているユカですが、だれかのリツイートで流れてきたものを深く考えずにリツイートしてしまったようです。
バズることでうやむやになる「許可」
ユカの事件簿では以前、他人を撮影して自分のSNSで公開する問題をとり上げました。たとえ自分は公開する画像に気をつけていても、他の人が同じように配慮して画像を公開しているとは限りません。画像に写っている人に、OKをもらっていないことだってあります。
とくに、SNSで話題になっている(バズっている)投稿は、自分の目にふれたときにはすでに何万ものシェアやリツイートをされていて、写っている人が公開を承知しているのか、それとも不本意にさらされているのか、判別がつかなくなっていることも多いのです。
でもその投稿は、「どうせ自分の仲間しか見ない。写された人や知らない人が見たりしないだろう」と気楽に公開してバズってしまったものだったり、もっとたちの悪い場合「リツイートやイイネを稼げたら、写っている人の迷惑なんてどうでもいい」という確信で公開されているものかもしれないのです。
リツイートにも責任感と判断力を
おもしろ画像や感動画像がだれかのプライバシーや肖像権や著作権を侵害しているとき、その画像を共有すれば自分も加害者のひとりになってしまいます。他人のプライバシーよりもおもしろいことの拡散を優先してしまうことのないよう、わたしたちはリツイートにも責任を感じなければなりません。
意図しない加害者にならないためには、客観的にその投稿が適切か判断することが大切です。まずは、「みんながリツイートしているから」、「おもしろいから」というノリで反射的に共有してしまわないよう、ひと呼吸間を置くこと。そして投稿自体がだれかをネットにさらすような内容でないかを、あらためて自分で見極めるのです。
子どもたちにはむずかしい課題かもしれませんが、今回のユカのように自分のリツイートのいけない点を身近な大人に指摘されることでも、プライバシーなどへの配慮を意識できるようになるでしょう。バズっている状況に関係なくその投稿を客観的に判断する態度は、子どものSNSに保護者の目の届くあいだに、しっかりと伝えていってほしいと思います。
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