Case 37 Twitterは人ごみか?/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~
ユカとケンカをしたあとスマホを見たら、ごめんねのメッセージが。でも不思議なのは、なぜTwitterで? みんな読むのに。
仲直りはTwitterで?
どこの家でも親子ゲンカは起こっていると思いますが、わたしと娘のユカ(大学生)もたまにします。
たいていはふたりで延々と言い争ったあと、「どうしても意見が合わないね」と不機嫌になって終わりです。始まりは「脱いだあとは服を片づけて」などのしょうもないことなのですが……。
翌日、Twitterを見ると、ユカがつぶやいています。
「昨日は体調が悪くて、親にあたってしまった。反省」
わたしはTwitterアカウントを一つしか持っていませんが、ユカは複数を使いわけています。そのなかに一つだけ相互フォローのアカウントがあり、わざわざそこにユカはつぶやいています。どうやらユカは、わたしに謝っているようです。わたしが「Twitter見たよ」と声をかけると、仲直りです。
わたしのほうから謝るときは、LINEやメールのように本人だけが見るものを使うか、直接しゃべります。なぜわざわざ、他の人も見ているTwitterで意味深な発言をしてくるのでしょう。
ママに言ってるんじゃないけど……とさりげなくすませてしまおうという心理も働くようですが、どストレートに謝っているときもあり、これならLINEでいいのでは、と首をかしげてしまいます。
人ごみとTwitterはちがいます
すこし見まわしてみると、Twitterで明らかに私的な会話のツイートをしている子どもは、珍しくありません。かぎアカ(非公開アカウント)ではないだれでも見られるアカウントで、特定の相手だけを意識したつぶやきを発することに違和感がないようです。
子どもたちの意識では、Twitterでつぶやくのは人ごみのなかで会話をしているのに近いのかもしれません。話しかけている相手以外に、近くにいる人(フォロワーなど)にも聞こえてしまうけれど、気にしないのです。
ところが、人ごみとTwitterではまったくちがう点があります。人ごみでいくら大きな声でしゃべったところで届く距離はたかが知れていますが、ネット上の発言は、近くにも遠く(公開アカウントであれば、全世界)にも同じ大きさで届き、そのまま残ります。
おしゃべり気分で友だち向けツイートばかりしていると、そのツイートを見るかもしれない遠くの人の存在を忘れてしまいます。問題発言で注目されてはじめて自分が世界に向かって発信していることを自覚してもあとの祭りです。
仮免許練習中な子どもたち
以前、知人の息子さんがSNSを始めたときに、あまりに言葉づかいが悪いので知人が注意したところ、「勝手に見るな、自分のSNSで好きなようにやってなにが悪い」と逆に怒ってきたそうです。そのときに知人は、公開アカウントにしていて「勝手に見るな」というのは筋が通らないし、だれでも見る可能性のあるアカウントで客観的に見て失礼だと感じる言葉づかいをするほうがまちがいだ、と息子さんをやりこめたそうです。
その結果、息子さんのSNSはみんなかぎアカになってしまい、いまどうなっているのかわからない、と知人は笑っていますが、一番身近な世間である親に最初の段階で怒られるほうが、調子に乗って炎上するより、はるかにましです。
運転にたとえれば、SNSデビューしたばかりの子どもはいわば仮免中。充分な技術やルールを身につけるまで、ネット(公道)に出るときは教官が同乗しなければならないのです。
身近な人とのおしゃべり気分のツイートで、遠くのだれかと事故を起こしたりしないよう、これからSNSデビューするお子さんの保護者は、どうぞお子さんの反論に負けずにいけないところを指摘してあげてください。
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