漫画家
こんな人 にピッタリ!
絵を描くのが好きな人。他人にはない独自の発想で物語を考えたり、それをどのような絵や構成にすれば効果的に伝えられかを考えるのが好きな人。地道な作業を続ける根気強さがある人。
どんな仕事 ?
すべてを自分 で作業 する映画 監督 のようなもの
物語を絵で表現する漫画を描き、それを雑誌などに掲載して原稿料などの収入を得る。自分で考えた物語を描く人もいれば、別の作家が考えた物語を描く人もいる。その作業を映画の制作に例えれば、台本を考え、登場人物に演技指導し、カメラアングルを決め、背景に工夫をこらして演出するようなもの。漫画家は、一人ですべての作業をこなす映画監督だ。ただし、漫画週刊誌に作品を連載する場合はアシスタントに作業を手伝ってもらうこともある。それでも毎週十数ページの漫画を完成させるのは大変な作業だ。ただし、掲載作品の数が限定される漫画週刊誌に連載されることは至難の技。とはいえ、漫画は常に新たな才能が求められているので、努力する者にはチャンスはある。とくに現在はスマートホンなどで楽しめるWeb漫画が大量に配信されるようになった。それだけデビューの機会も増えている。作品がヒットすれば、TVアニメや劇場映画化されることもある。また、海外では日本を代表する文化の一つとして漫画の人気が高い。世界中にファンを広げるのも夢ではないのだ。
これがポイント!
漫画 を描 く技術 をみがき、アイデアの素 になる経験 を豊 かにする
プロの漫画家になるための特別な資格や試験はない。漫画を描ける人ならば、誰でもプロになれる可能性はある。その漫画の描き方は独学でも習得できるが、より面白いものにするための技術を学ぶための専門学校もある。ただ、技術を学ぶのも大切だが、「独自のアイデア」の素になる経験を豊かにするのはもっと大切。たくさんの本を読んだり映画を観たり、多くの人と交流しよう。学歴は不要だが、大学や短大に進学し、さまざまな見聞を広めて人間の幅を広げるのもいいだろう。
漫画家 がデビューする3つの方法
漫画家がデビューするまでの道は人によって様々だが、大きく分けると次の3つがある。1つ目は「出版社が募集する新人賞などへの応募」。受賞してもすぐにデビューできるわけではないが、出版社とのつながりができるので、デビューに向けての指導を受けられる。2つ目は「出版社への作品持ちこみ」。志望者が出版社に直接、連絡を取り、持参した作品を読んでもらう。その場で評価や指導をしてもらえるので、勉強になる。実力が認められれば、アシスタントの仕事を紹介してもらうなど、腕をみがくチャンスにつながることもある。そして最後に「出版社からのスカウト」。自費で製作する同人誌に発表した作品やインターネットで発信したWeb漫画などが評判になると、それに目を止めた出版社の方から連載や単行本化を誘ってくることもある。最近は、この3つめの方法でヒットする漫画が増えている。
将来 はこうなる
デジタル技術 が進 んで新 たな漫画 が生 まれる?
近年、漫画を描く道具は大きく変化している。かつては紙とペンで描くアナログな方法しかなかった。それが現在では、パソコンの画像加工ソフトやペン型の入力装置などのデジタル機器が進歩。アナログの操作感覚で、アナログな方法で描いたものと遜色のないクオリティで、デジタルデータの絵を描けるようになった。そうしたデジタル作画に移行する漫画家も多い。アナログな方法のペンを使って線を描き、それをスキャナーでパソコンに取りこみ、仕上げをデジタルで処理する漫画家もいる。デジタル技術は今後も向上が期待できる。また、漫画の発表の場も、雑誌のような印刷物だけでなく、インターネットなどのデジタルな世界に広まっている。作る側と発表する側が同じデジタル技術でつながっているので、デジタルならではの表現方法や機能が加味されるなど、新たなスタイルの漫画が生まれるかもしれない。
データボックス
収入 は?
漫画家の平均年収は、423~788万円。漫画家の主な収入は、雑誌などに連載された作品の「原稿料」と、連載をまとめた単行本が売れた時に発生する「印税」。原稿料は漫画家のキャリアや出版社によって様々だが、原稿1枚につき1万円から数万円。印税は、発行部数や売上部数に応じて漫画家に支払われる使用料。これも漫画家のキャリアや出版社によって様々だが、おおよそ本の価格の10パーセントほど。発行部数で契約した場合、1冊500円の単行本が1万部発行されると印税は50万円。アニメ化されてグッズなどが発売されると、それぞれの使用料である「著作権料金」や「ロイヤリティー」が漫画家に支払われる。
休暇 は?
締め切り前は徹夜で作業することもあり、作業が終われば休むなど、休日が決まっていないことが多い。とくに毎週、締め切りがある週刊誌連載は激務。
職場 は?
自宅の仕事場。アシスタントが増えると手狭になるので、自宅とは別に仕事場を借りて作業する漫画家もいる。