個人や会社などのお客さんの求めに応じて、さまざまな調査や情報収集を行う専門家。
こんな人にピッタリ!
集中力やがまん強さがある人。何事にも臨機応変な対応ができる人。コミュニケーション能力がある人。体力がある人。
どんな仕事?
人間関係のもめ事を調べる
お客さんの求めに応じて、特定の人の居場所や行動などの情報を、話を聞いたり、尾行したり、張りこみしたりして収集し、調査結果を報告する。代表的な調査として「浮気調査」「素行調査」「行方調査」「身元調査」などがある。浮気調査は、結婚相手や交際相手がいるのに別の人と関係を持っている疑いがある人の行動を調べるもの。素行調査は、調査対象者のふだんの行いや交友関係を調べるもの。行方調査は、家出などで行方不明の人や連絡が取れない人を捜し出すもの。身元調査は、婚約者や恋人の経歴や家族関係などを調べるもの。ほかにも「ストーカー調査」「盗聴器・盗撮カメラの調査」「いじめに関する調査」「行方不明のペット探し」などを行うこともある。人間のずるい部分を見たり、もめごとに出くわすことも多いが、調査結果を報告して客の役に立ったことを実感したときは、大きなやりがいを感じられる仕事だ。
ドラマのような刑事事件は担当外
マンガやドラマでは探偵が殺人事件を解決する場面が見られるが、実際には探偵が殺人事件の捜査をすることはない。殺人事件のような犯罪は「刑事事件」と呼ばれ、捜査権や逮捕権を持つ警察などの担当だ。民間の調査機関である探偵は捜査権や逮捕権がなく、人間関係のもめ事などで起こる「民事事件」が担当。ただし、お客さんの中には、警察に刑事事件として捜査してもらう目的で、まず探偵に民事事件として証拠集めを求める者もいる。その場合、探偵による民事事件の調査結果が刑事事件の立証につながることもある。
ちなみに、探偵と同じ民間の調査機関に「興信所」がある。もとは、個人の事件を調査するのが探偵、会社の信用を調査をするのが興信所という異なる業種だった。現在は担当する分野があいまいになり、どちらも法律的には同じ業種になっている。
これがポイント!
探偵事務所に就職するか、自分で探偵事務所を開業する
探偵になるための特別な資格や学歴はない。性別や年齢に関係なく、どんな人でも探偵になれる。その方法は2つある。ひとつは、探偵事務所や興信所に就職すること。調査対象者を尾行したり張りこみしたりする技術は就職後に所内で学べるが、就職に備えて「探偵学校」や「探偵講座」で学ぶこともできる。探偵になるもうひとつの方法は、自分で探偵事務所を開業すること。じつは都道府県の公安委員会(警察)に「探偵業届出証明書」を提出すれば、探偵事務所を開けるのだ。ただし、未成年者・暴力団関係者・破産者・犯罪の前科がある者などは開業できない。経験がなくても開業できるとはいえ、現実的には、探偵事務所などに就職して探偵の技術を身に付け、経験を積んだ上で独立・開業を目指すべきだ。大手探偵事務所の中には、使用料を払えば事務所の名前を使えたり経営の技術を教えてもらえたりする「代理店(フランチャイズ)」制度を導入しているところもある。また、一般社団法人日本探偵業協会は、探偵業の届け出をした者を対象に「探偵調査士」の資格試験を行っている。ほかにも、一般社団法人日本調査業協会が行う「探偵業務資格認定」もある。どちらも探偵としての技術を証明できるので、自分の実力を試すために受験してもいいだろう。
探偵が持っていると使える資格や技術
探偵になるために必要な資格はないが、探偵の仕事をする上で取得しておくと便利な資格や技術はある。まず「運転免許」。自動車かバイクのどちらか、または両方取得しておくといいだろう。普通自動車免許の取得を求人の条件にしている探偵事務所が多いが、小回りのきくバイクの免許を重視する事務所もある。次は「写真や動画の撮影技術」。探偵の調査では、調査対象者の動向や現場の様子を撮影して証拠にすることが多い。どんなときでも対象がはっきりうつった写真や動画を撮影できるように技術をみがこう。調査報告書を作成するために「パソコンを操作する技術」も身に付けておきたいもの。また、盗聴器や盗撮カメラなど「最新の電子機器に関する知識」もあると便利だ。そして「刑法や民法などの法律知識」。探偵の調査活動は法律を守って行わなくてはならない。自分が行う調査活動が法律に違反していないか判断するためにも、法律に関する知識は必要だ。
将来はこうなる
活動する場や必要性が増し、探偵の能力が問われる?
探偵の仕事の内訳は、大半が浮気調査だ。それに加えて最近は、いじめやストーカーに関する調査も増えている。どちらも犯罪に発展しかねない問題なので、探偵が調査することによって犯罪を未然に防ぐことができるかもしれない。また、現在はインターネットにおける探偵調査も行われている。ネット上で知り合った人を探したり、中傷や悪口を言う相手を特定したり、ネット上で公開されているサービスや業務内容が真実かどうかを調査したりするのだ。このように、探偵が活動する場や必要性は増している。しかし、探偵の中には、調査技術が未熟だったり、ずさんな調査で法外な費用を要求したりする悪質な業者もいる。2007年には、契約上のトラブルや違法な調査などの問題をふせぐための「探偵業法」が生まれたが、現在でも探偵の技術は個人差が大きい。将来は、国家試験などの能力認定制度が導入されるかもしれない。
データボックス
収入は?
平均年収は466~648万円。
休暇は?
所属する探偵事務所によるが、週に1日か2日の休日はある。お客さんの求めに応じて調査や情報収集を行うため、決まった休日を取ることは難しい。所員が少ない事務所は、休日出勤することもある。1日の勤務時間も、調査内容や調査対象者の行動などによって異なる。
職場は?
客との打ち合わせや報告書作成などの事務作業は探偵事務所。調査中は調査対象者の身辺など。
なるためチャート
探偵の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!