日本古来の宗教のひとつである「神道」を伝えるため、神社で働く宗教職。儀式をとりおこなったり、参拝者に対応したり、施設の維持管理などもおこなう。「神主」は通称としての呼び方で、正式には「神職」。
こんな人にピッタリ!
地域の人たちと上手に付き合えるコミュニケーション能力を持つ人。日本の歴史・伝統を重んじる人。奉仕活動が自然にできる人。
どんな仕事?
日本古来の「神道」の教えを伝え、神と人とを結ぶ
日本古来の「神」をまつる神社は全国に数多くあり、それぞれの神は周辺地域を守る「氏神」として、地域の人々の心のよりどころとなっている。神主はそうした神社の管理者として、地域に根ざした活動をしながら、神道の教え、文化を後世に伝えていくのが仕事だ。季節の行事や神前結婚式、厄払いなどの儀式を神社でとりおこない、お祓いや地鎮祭など依頼があれば現地におもむいて、神と人々とを結ぶ役目をになう。
これがポイント!
神職の多くは親から子へ世襲制で受けつがれている
神社を運営する神主は、世襲制(親子代々受けつぐこと)であることが多い。神職の家に生まれた子どもが、実家の神社をつぐために神職となるのだ。近年その世襲制がくずれ、神主不在の神社も出てきた。そのため、ひとりの神職が複数の神社の仕事をかねたり、一部の神社では求人サイトなどに募集広告を出したりする動きもある。そのため、一般家庭から神職を目指すことも少しずつだが増えている。いずれにせよ、神道は日本の歴史・伝統に根ざした日本固有の宗教であり、専門的に学べる大学、もしくは神道養成所でしっかりと学ぶ必要がある。
神職として働くためには「階位」が必要
神職として働くためには「階位」という資格が必要になってくる。全国にある神社の多くは「神社本庁」という組織に所属していて、階位はその「神社本庁」が認定している。階位は神職資格課程のある大学を卒業するか、神職養成所を修了することで取得するのが一般的。現在、神職資格課程のある大学は國學院大學(東京都)と皇學館大学(三重県)の2校。神職養成所は出羽三山神社(山形県)、志波彦神社・塩竈神社(宮城県)、熱田神宮(愛知県)など有名神社が運営するものが全国に6か所ある。また、一部の大学や全国各地域の神社庁では、毎年、階位についての検定講習会、検定試験がおこなわれている。これには就職する神社が決まっているなど複数の条件があるが、クリアすれば受講し試験を受けることができる。さらに、一般財団法人大阪国学院には全国で唯一、神職資格取得通信課程があるが、こちらも勤める神社が決まっているなど複数の条件が必要なので注意したい。
階位を得たら「奉職」先を探す
神職の場合、就職することを「奉職」と呼ぶ。世襲でない場合は、階位を取得したのち、奉職先を探すことになる。これまでは、神職の求人広告が出ることは多くはなく、正月などの繁忙期に巫女さんや雑用などのアルバイトを募集する程度。本職として神職を目指したいときは、人づてにコネクションを頼って奉職先を探すのが一般的だった。しかし、最近ではSNSの求人サイトに「神職」「神職(見習い可)」「神職(神主)」などが上がるようになっている。神社本庁に所属していない神社もあり、チャンスは少しずつだが広がっている。
将来はこうなる
一般家庭から神職を目指す人にはチャンス
神主がひとりいれば十分な規模の神社は多く、一度なってしまうと入れ替わりはほとんどない。新しく神社が建立されるケースはまれで、神主の需要が大量に増えるとは考えにくい世界だ。ただ、後継者不足に悩む神社も多いため、実家が神社でない人でも新しいジャンルの就職先として、チャレジする価値はありそうだ。
データボックス
収入は?
平均年収は447~537万円。神社によって収入には格差がある。神社の収入は、お祈祷・お祓い料、お賽銭、お守り・おみくじの販売などで成り立っていて、観光地などたくさんの人が訪れる神社は収入が多く、地域住民が支える小さな神社の収入は少なくなりがちだ。働く神職の収入も、そうした職場の違いで左右される傾向がある。
休暇は?
一般的な会社員と同じく、週休2日制と規定している神社は多い。ただ、冠婚葬祭の予約で休みが返上になることも多い。年末年始などは無休で超多忙だ。神道の場合、休日であっても朝夕の祈祷はかかせないため、仕事とプライベートの線引きが難しい一面もある。
職場は?
神社。依頼された地鎮祭や祭りなどの現場。
なるためチャート
神主の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!