服部哲郎さん(ロジスティード株式会社)
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ロジスティードってどんな会社 ですか?
国内だけでなく、国際的な物流を支える「総合物流企業」です。「総合物流企業」というと、少し難しく聞こえるかもしれませんね。
簡単に言うと、小さな物から大きな物まで、いろんな物を世界中に運ぶ以外にも、デジタル技術を使って物流の新しいシステムづくりにもチャレンジしている会社です。
たとえば、「物流」がなくなってしまうと、みんなが使う教科書も、着ている洋服も、食べている物も届きません。必要な物が必要な人に届くから、豊かな暮らしができるんですね。
わたしたちは、そこから一歩進んで、「運ぶこと」だけではなく、「作った物を、使う人に安全に引き渡すこと」までが「物流」だと考えています。
欲しい物が手元に届いたときに、箱がつぶれていたり、汚れていたりしたらイヤですよね。だから、お客さんに安全に引き渡すところまでを含めて「物流の品質」だと考えています。
会社の拠点は28の国と地域に、およそ800か所。内訳は、日本がおよそ330か所で、海外がおよそ470か所あります。海外はインドやタイ、マレーシアなど、アジアの国が多いんですよ。
服部 さんはどんな仕事 をしていますか?
IoT、AI、ロボットといった最先端のデジタル技術を使って、物流を進化させる仕事をしています。
たとえば「物流」に不可欠な存在である「輸送」を担当するトラックのドライバーがこれから不足すると言われています。それをデジタルの力を使って解決できないか、ということを考えています。
具体的には、ドライバーの安全を守り、効率よくトラックを動かす「SSCV(Smart & Safety Connected Vehicle)」システムにチャレンジしています。
「物流」の業界ではたくさんのトラックが活躍していますが、ドライバーの体調不良が原因で起きる事故が増えています。
事故の原因は、ドライバーの運転ミスや体調不良だけではなく、本人も気づかないような疲れや睡眠不足などもあります。だから、体調測定に加えて「自律神経計」という珍しい機械を使って“見える”化して測定し、データで管理しています。
また、運転中は、疲労が測れる腕時計型のバンドで、疲労がたまっていないかをチェックしています。もちろん、ドライブレコーダーで危険運転等の見守りもしています。
無事に業務が終了して帰ってきたら、ドライバーとその日を振り返ります。たとえば、「ヒヤリ・ハット」と呼ばれる「あぶない!」と感じた事の振り返りとして自動的に切り出される20秒の動画を確認し、次の日の安全運転につなげるようにしています。
運転の振り返りのようす(画像提供/ロジスティード)
「予測する・見守る・振り返る」という3つのポイントを、デジタル技術を使って安全に管理しているんですね。
「輸送」以外でも、デジタル技術を使って業務を効率的に進めるために、たとえば荷物の仕分けなどをする物流センターでは、ロボットにできる作業はロボットに任せていますし、紙や電話が主体のやり取りも、電子化を進めています。
ロジスティードが大切にしているのは、現状に満足せずに、「物流」を今よりよくしていこうという想いです。だから、課題を見つけて、改善するためにどんどんチャレンジしていく。現場改善のアイデアを提案して、賞をもらうような機会もありますよ。
服部 さんはどうしてロジスティードに入社 したのですか?
学生の頃から具体的には何をしたらいいのかわからないけれど、「新しいことをしたい」という想いや、「何かを変えていきたい」という希望をもっていました。
大学卒業後に入社した建設業界、いわゆるハウスメーカーで、「物流」の子会社を立ち上げるプロジェクトを経験し、「物流」の基本を学び、おもしろさを知りました。でも同時に見えてきたのは、これから解決していかないといけない課題の部分です。
じつは物流業界って、とってもアナログな世界なんですよ。たとえば、48時間を超える長距離運転では、ドライバーの予定と実績を記入した運行指示書が必要なのですが、全部手書きだったりするんです。
アナログな仕事のよさはもちろんあるのですが、ドライバー個人の経験値によって仕事内容が左右される部分もあるので、物流全体の技術進歩のためには、今まで通りのやり方では限界があると感じていました。
ちょうどその頃、ロジスティードが、「SSCV」というシステムで「物流」を進化させようという取り組みを本格的に展開していくという話を聞いて、すごく共感したんです。
「物流」という大きな業界で、今までのやり方を変えていくことが、いかに大変なことかは肌で感じていましたが、自分が学生の頃に描いていた夢が、実現できるのではないかと思って入社を決めました。
仕事 をしていて、うれしいときややりがいを感 じるときはどんなときですか?
「自分のやっていることが、誰に対して、どういう風に役に立つか」を考えています。
誰かが喜んでくれたり、「役に立ったよ」と言ってもらえたりすると、うれしいじゃないですか。だから、「どうやったら相手が喜んでくれるかな?」と想像しながら仕事をしていきたいと思っています。
いちばんやりがいを感じるのは「SSCV」のシステムで「事故ゼロをめざす」こと。簡単なことではありませんが、実現できれば、誰も加害者にならないし、被害者にもならない。
私にも愛する家族(妻と娘)がいるので家族が事故に遭うことを想像しただけで心が痛みます。事故は加害者・被害者双方だけでなくその家族や関係者も不幸にしてしまうので、誰も悲しまなくてすむのが理想だと思っています。
そんな社会に役立つ仕事に誇りを感じていますし、「いいことをやっているね」って声をかけてくれる人たちの存在が原動力になっています。
仕事 をしていて、大変 なときはどんなときですか?
「物流」の課題に対して、今までのやり方を新しく変えていくことは簡単ではありません。
現場ではドライバーや事務、物流センターの仕分け業務など、1人ひとりがプライドを持って仕事をしているので、「これが正しいからこうしてください」と言うだけでは聞いてもらえないんですね。
まずは、それぞれの考えを聞いて、話をして、納得してもらうことが必要です。どんなにいいシステムを開発しても、信頼関係をしっかりつくって、新しいやり方のよさを感じてもらえないと、定着していきません。実際に人が使うところまで考えて行動するのもわたしの仕事です。
システムをつくる会社はたくさんありますが、現場の声を直接聞いたり、実際にトラックを何台も動かしたりできる環境はなかなかないので、やりがいを感じています。
現場に行って1人ひとりと話していると、「本当はこうしたいんだよね」とぽろっと言われたことが、改善の大きなヒントになったりもするんですよ。
目標はありますか?
物流業界のイメージを変えたいと思っています。私も物流業界に携わる前は「なんかきつそう」「肉体労働ばっかりなんじゃないか」と思っていましたから。
でも、実際は、最先端の技術の導入に熱心だったり、人と人との密な関係性があったり、みんなが情熱を持って働いている業界なんです。
だから、物流業界のことをもっと知ってもらって、「物流業界って魅力的だな」「私もこんなところで働きたいな」って、多くの人に思ってもらえたらうれしいです。
ロジスティードで働 くには?
物流 業界 に興味 のあるみんなへの応援 メッセージ
物流業界には、「輸送」を担当するトラックドライバーのほか、「保管」「包装」「荷役」「流通加工」「情報」といった、さまざまな役割があるので、自分の得意なことを生かして、みんなで力を合わせて働けるところに魅力があると感じています。
今回私の記事を読んで、少しでも「物流」に興味を持ってくれたみなさんと、一緒に仕事ができる日を楽しみにしています!
取材・文/高崎薫(エイスクール) 編集/石橋沙織 撮影/我妻 慶一