相談を受けた会社の経営が良好になる手助けをする。
こんな人にピッタリ!
経済の動きや経営について関心がある人。世話好きで、人の相談に乗るのが好きな人。コミュニケーション能力がある人。学ぶことが好きな人。論理的思考力がある人。
どんな仕事?
会社の経営的な問題点を突き止めて改善計画を提案し目標を達成させる
経営がうまくいかずに困っている会社の経営者などから相談を受けて、会社の問題点やその原因を探り、改善策を考えて提案する仕事。経営コンサルタントが手がけるものは、事業戦略(経営目的を達成するための方法)、会社の組織や人材の強化、M&A(複数の会社を1つにしたり、買収すること)など、はば広い。また、経営コンサルタントはコンサルタントの専門会社(コンサルタント・ファーム)に所属することが多いが、個人営業の人もいる。さらに、コンサルタント会社やコンサルタント本人によって、戦略系・財務系・人事系・IT系・総合系など、得意とする分野が異なる。
仕事の流れとしては、まず、経営に関する問題点について、経営者・社員・取引先などの関係者から話を聞き、数字的な資料などの情報収集を行う。それを整理して問題の原因を突き止め、改善策・解決策を考えて報告書にまとめる。解決策を導き出すには、「論理的思考力(結論に向けて合理的な筋道を立てる考え方)」が必要だ。また、相談者に報告するときは、相手にわかりやすく伝える「プレゼンテーション能力」が欠かせない。提案が相談者に受け入れられれば、具体的な改善計画を立てたり社員研修などを行ったりして、改善計画を達成させることに力をつくす。
経営コンサルタントが相談者に提案を納得してもらうには、相手に信用されなくてはならない。そのためには、豊富な実務経験に基づく知識を備えていることが大切だ。社会や経営をめぐる変化に対応できるように、つねにさまざまな情報を収集しておくことが求められる。そんな経営コンサルタントは、会社の運命を左右する責任の重い仕事。それだけに、自分の提案で会社の業績が上がって経営者や社員に感謝されたときの喜びは格別だ。
これがポイント!
経営コンサルタントを目指すなら、学生時代からの勉強が大切
経営コンサルタントになるための特別な資格はない。新卒者の場合、大学や大学院を卒業してコンサルタント会社(コンサルタント・ファーム)に就職するのが一般的。ただし、優秀な学生が就職を希望する人気職業なので、採用試験の倍率は高い。かなりのせまき門だ。また、世界を舞台に活動する大手コンサルタント会社や外国資本のコンサルタント会社には、経営大学院(ビジネススクール)で得られる学位であるMBA(経営学修士)を取得している人が多い。ちなみに、経営大学院は、大学生が進学するだけでなく、社会人が働きながら通うこともできる。また、新卒ではなく、一度ほかの会社に就職し、そこで金融・財務・人事などさまざまな専門業務を経験してからコンサルタント会社へ転職する人もいる。前職の経験をコンサルタントの仕事に生かせるからだ。そのように、経営コンサルタントになるための道はさまざま。本気で就職を目指すなら、学生のころからさまざまな勉強・資格取得をしておく必要があるだろう。とくに大手や外国資本のコンサルタント会社を希望するならば、英語などの語学を身に付けておこう。
経営コンサルタントの仕事に生かせる多くの資格がある
経営コンサルタントになるための資格はない。だが、取得することで「経営に関する専門知識を持っている証明」になるような、仕事に生かせる資格がいくつもあり、相談相手の信用や専門的な仕事を得るのに有利だ。MBAもその1つ。また経営コンサルタントの仕事に関わる資格として有名なものに、国家資格である「中小企業診断士」がある。中小企業診断士の仕事は、「経営コンサルティング」、「経営改善計画書や経営診断書の作成」、質問に回答したりセミナーで講義したりする「専門知識の発信」など。中小企業診断士の資格を取得して、経営コンサルタントとして独立開業する人もいる。同じく経営コンサルタントに関わる資格に、民間資格の「経営士・経営士補」がある。こちらは「日本経営士協会」が行う試験に合格するか、養成講座を修了することで取得できる。ほかにも、監査や会計を行える国家資格「公認会計士」、税金に関係する指導や助言を行える国家資格「税理士」、働く人の目線で労務改善を提案できる国家資格「社会保険労務士」などがある。それらは社会人になってからでも取得できるが、学生時代に取得しておくのもいいだろう。
将来はこうなる
競争に勝ち残るには、より相談者によりそった仕事が求められる
経営コンサルタントは、業界内での転職や独立開業することが多い。ほかの職種の会社に転職し、その会社の経営を改善する仕事を担当する人もいる。経営状態を改善したいと考える会社がある限り、それを手助けする経営コンサルタントの仕事がなくなることはないだろう。一方で、生成AIを活用したコンサルタントサービスが始まっており、経営コンサルタント同士の競争はこれまで以上に激しくなると考えられる。競争に勝ち残るには、生成AIが得意な「どんな相手にも当てはまる提案」ではなく、「より相談者によりそった提案」をすることで相談者に満足してもらうことが大切だろう。
データボックス
収入は?
平均年収は、722~1050万円。所属する会社や独立開業している場合などで異なる。
休暇は?
所属する会社が週休二日制でも、相談相手の都合に合わせて調査や提案をすることが多いので、休日は不規則になりがち。
職場は?
所属する会社のオフィス。相談相手の会社に行って調査をしたり提案したりすることも多い。
なるためチャート
経営コンサルタントの仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!