学校で児童・生徒の健康管理や保健指導を担当する「保健室の先生」。
こんな人にピッタリ!
世話好きな人。人の話をじっくり聞いてあげられる人。どんな相手に対しても冷静な対応ができる人。
どんな仕事?
心身に傷を負った児童・生徒を見守り、学校全体の健康・衛生状態を管理する
「保健室の先生」と呼ばれる養護教諭の代表的な仕事は、学校でケガをしたり体調不良になった児童・生徒の手当だ。ただし、養護教諭は医師ではないので本格的な治療はできない。あくまで応急手当やベッドで休養させることが中心。大ケガや深刻な症状の場合は、病院を受診すべきか帰宅して休養すべきかを判断し、病院へ連れていったり保護者に迎えに来てもらうように連絡したりする。
目立たない仕事としては、学校で行われる身体測定、歯科検診、視力検査など健康診断の計画を立てたり準備をすること。教職員の健康診断にも関わるなど、養護教諭は学校全体の健康管理の担当者だ。また、水道水やプールの水質検査、教室の空気や温度の検査などを行い、学校の衛生状態の管理も担当している。さらに、遠足や修学旅行に同行して事故や急病に備えたり、クラスの学級活動の時間を利用して歯みがきや手洗いなどの保健指導をしたりする。保健体育の授業に参加することもある。
一方、体の傷ではなく、心に傷を負って保健室に来る児童・生徒も多い。そんな児童・生徒をやさしく受け止め、相談に乗るのも養護教諭の大切な仕事だ。
これがポイント!
養護教諭免許状を取得して教員採用試験に合格する
養護教諭になるには、まず、教員免許状の一種である「養護教諭免許状」を取得しなくてはならない。養護教諭免許状には3種類あり、大学や短大・専門学校で所定の単位を修得することで取得できる。大学を卒業すると「一種免許状」、短大・専門学校を卒業すると「二種免許状」、大学院を修了すると「専修免許状」がそれぞれ取得できるのだ。免許状の種類による仕事内容の差や制限はないが、学歴によって給料に差がつくことはある。将来的に校長などの管理職を目指すならば、二種よりも一種、一種よりも専修の免許状を取得すべきだろう。また、二種免許状と一種免許状の差は、修得した単位の数。そこで、二種免許状でも、文部科学大臣指定の「養護教諭養成機関」で不足している単位を修得すれば、一種免許状に切り替えることができる。
また、養護教諭免許状を取得しただけでは養護教諭にはなれない。公立学校で働く養護教諭を目指すなら、各都道府県の教育委員会が行う教員採用試験に合格しなくてはならない。私立学校で働く養護教諭を目指す場合は、各校の教員採用試験に合格する必要がある。ただし、養護教諭は人気職業であり、基本的に1校に1人なので、採用試験の倍率は高い。かなりのせまき門だ。
「保健師」や「看護師」から養護教諭を目指す
看護学校を卒業して「保健師」や「看護師」の国家資格を取得した人が養護教諭を目指すこともある。保健師は病気やケガをしないように指導する仕事であり、看護師は病気やケガをした人を治療する仕事。どちらも養護教諭の仕事に生かせる知識や経験を持つ専門家だ。そんな保健師・看護師が養護教諭になる場合も、まず養護教諭免許を取得しなくてはならない。ただし、保健師や看護師の資格がある場合、文部科学大臣指定の「養護教諭養成機関」で、保健師は半年以上、看護師は1年以上学んで所定の単位を修得すると「養護教諭一種免許状」を取得できる。また、保健師の場合、文部科学省指定の4科目8単位を取得していれば、都道府県の教育委員会に願い出ると「養護教諭二種免許状」を取得できる。もちろん、養護教諭免許状を取得しただけでは養護教諭にはなれない。教員採用試験に合格することが必要だ。せまき門に変わりないが、私立学校への就職では保健師や看護師の資格を持っていることが有利になることもあるようだ。
将来はこうなる
児童・生徒の健康を保つ養護教諭の仕事は、より重要になる
現在の日本は、子どもの数が減る「少子化」という状態にある。今後は、児童・生徒の数が減った学校の閉校や複数の学校をまとめる統合が増えていくと予想される。学校の数が減ると、基本的に1校に1人とされている養護教諭の採用は、よりせまき門になっていくだろう。一方で、保健室を利用する児童・生徒の数は増えている。ケガや病気だけでなく、心の不調や、なやみをかかえた児童・生徒も多い。そうした児童・生徒にしっかり向き合うには、1人の養護教諭では足りない。そこで、1校に複数の養護教諭を配置してほしいと望む声も上がっている。それが実現すれば、養護教諭の採用が増える可能性もある。
子どもたちを取り巻く社会の変化につれて、遊び方や友達づき合いのかたちもどんどん変わっている。いじめなど深刻な問題もなくならない。児童・生徒を見守り、その心身の健康を保つ養護教諭の仕事は、今後、より重要なものになっていくだろう。
データボックス
収入は?
平均年収は、小・中学校教員が565~731万円、高等学校教員が584~835万円。公立学校は自治体によって多少の差があり、私立学校の場合は各学校によって差がある。
休暇は?
学校が週5日制なので、週休二日制(土日・祝日は休み)。5日ほどの夏季休暇、年末年始(12月29日から1月3日)の連休を取ることができる。ちなみに、夏休みで児童・生徒が登校しなくても、養護教諭はほかの教員と同じように出勤する。また、土曜授業がある場合も出勤する。
職場は?
公立・私立の小学校、中学校、高校、大学などの保健室。公立学校の場合、公務員なので、数年おきに別の学校への異動がある。その場合、自分で勤務地を選ぶことはできない。希望は出せるが、それがかなうとは限らない。
なるためチャート
養護教諭の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!