生活に欠かせない水道・トイレ・ガス・エアコンなどに必要なパイプやホースなどを設置する専門技術者。
こんな人にピッタリ!
切ったりつなげたりしてものを組み立てることが好きな人。コツコツと作業するのが好きな人。根気よく作業できる、がまん強さと責任感がある人。
どんな仕事?
水やガスを流す「管」を建物や設備機器に取り付ける「配管工事」を行う
「配管」とは、水やガスなどを流す管・パイプを、必要な長さや形に合わせて切る・曲げる・つなげるなどの加工をして、所定の場所へ取り付けること。つなげた配管から水やガスがもれていないかを確認するまでの「配管工事」のことでもある。配管工は、戸建て住宅・マンション・ビル・工場などの建築工事で、さまざまな配管を設計図通りに建物に取り付ける配管工事を行う専門技術者だ。
配管工事の種類は、配管の目的によって、おおよそ5つに分けられる。水道や下水などの水を流す「衛生配管」・ガスを供給する「ガス配管」・冷暖房やボイラー(湯や水蒸気をつくる設備)に用いる「空調配管」・スプリンクラー(火災の際に天井から散水する消防設備)に用いる「防災設備配管」・工場で使用する特殊なガスや薬品を供給する「プラント配管」だ。ほかにも病院で使う酸素や二酸化炭素などを供給する「医療用ガス配管」もある。
ちなみに、衛生配管では洗面台や便器、ガス配管ではガスコンロや給湯器、空調配管ではエアコンなど、それぞれの配管につなげて使う機器類の取り付けも配管工の役目だ。
また、新規の配管工事だけでなく、設置された配管の保守・点検・修理・交換も行う。
建物の屋内に取り付けられる配管は、戸建て住宅では床下や天井、マンションなどのビルではパイプスペース(PS)と呼ばれる専用空間に設置されることが多い。せまい場所に体をねじこんで作業する配管工の仕事はとても大変だ。それだけに、無事に作業をやりとげたときは大きな満足感を得られるようだ。
これがポイント!
進学より就職が一番の早道
配管工の仕事をするための特別な資格はなく、学歴も問われない。多くの場合、建設業界の「設備工事会社(衛生設備・空調設備)」に就職し、最初は見習いとしていろいろな現場を体験しながら知識や技術を習得していく。ただし、就職する時期・年齢は人によって異なる。中学校卒業後や高校卒業後にすぐに就職する人、高等専修学校・高等専門学校で技術を学んでから就職する人、大学・短大・専門学校に進んで専門的な建築学の知識や技術を学んでから就職する人など、さまざまだ。少しでも早く配管工になりたい場合は、進学するよりも就職をするのが一番の近道だろう。
配管工のキャリアップにつながる3つの資格
取得することで配管工としての専門知識や技術を備えている証明になる資格がある。代表的なものは「配管技能士」・「管工事施工管理技士」・「建築設備士」の3つだ。
配管技能士は、配管工事を行う技能者であることを厚生労働省が認可する国家資格。住宅やビルの工場を対象にした「建築配管作業」と、工場の工事を対象にした「プラント配管作業」がある。それぞれ1級・2級・3級に分かれ、1級は上級者向け、2級は中級者向け、3級は初級者向けだ。
管工事施工管理技士は、配管工事の管理をする技能者であることを国土交通省が認可する国家資格。工事計画を作成し、工事の工程・品質・安全の管理を行う2級と1級がある。2級の資格があると工事現場の「主任技術者」に、1級の資格があると主任技術者よりも規模が大きい工事現場の管理・監督をする「管理技術者」になることができる。
建築設備士は、建築設備の設計や工事監理に関して、建築士に求められた場合に助言を行うことができる。国土交通省が認可する国家資格だ。ただし、試験の合格率は低く、かなりの難関だ。
それぞれの資格を取得する勉強をしたり技術をみがいたりすることで、専門知識や能力も向上する。そうやって経歴を高めると、収入のアップも期待できるだろう。
将来はこうなる
配管工事はつねに必要で、女性の技術者が増えていく
水道・下水・ガスなどの設備は「インフラ(インフラストラクチャー/社会基盤)」と呼ばれている。生活や仕事に欠かせないインフラの設置にたずさわる配管工の仕事がなくなることはないだろう。とくに日本は高度成長期(1950年代~1970年代)に整備したインフラが古くなって「建設後50年」と言われる限界が来ている。新規の配管工事だけでなく、古くなった配管の修理や交換でも配管工の出番は増えるだろう。
一方、国土交通省は建設業で働く女性を増やす計画に取り組んでいる。建設業で働く女性の数は、2012年は70万人(13.9%)だが、2022年は85万人(17.7%)に増えている。女性が増えた理由の1つは、建設作業に体力や筋力が問われない場面が増えているからだ。かつては重い建築資材を人力で運んでいたが、現在はクレーンなどの機械を使う。配管工事にも配管を取り付ける金具(ボルトやナット)をしめつける作業があるが、現在は力が必要ない便利な道具が使われている。また、配管工の仕事は、せまい空間で作業するために「知恵や発想が必要な頭脳労働」と言われている。知識と技術があれば活躍できるので、今後も女性の配管工は増えていくと思われる。
データボックス
収入は?
平均年収は、437~468万円。所属する設備整備会社によって異なる。経験を積んだ配管工の中には、独立してフリーランスで働いたり、自分で工務店を経営したりする者もいる。
休暇は?
2023年現在は、多くの場合、土曜日は2週に1日休み、日曜日は固定で休みにしている会社が多い。国土交通省は、2024年4月から建設業界でも週休2日制を実現させることを目標にしている。
職場は?
所属する設備整備会社で配管の手配や加工などを行い、それを現場へ運んで取り付け作業を行う。作業員によっては、所属会社に寄らず、現場へ直行・自宅へ直帰することもある。
なるためチャート
配管工の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!