ラーメン店の責任者。自分が生み出した味のラーメンを提供する個人経営店の店主や、どの店でも同じ味のラーメンを楽しめるフランチャイズ店の店主もいる。
こんな人にピッタリ!
ラーメンを食べることも、つくることも好きな人。おいしいものを人に食べてもらいたい気持ちが強い人。長時間労働にたえられる体力や気力がある人。
どんな仕事?
ラーメン店の味とサービスを決める責任者
ラーメン店主は、お客さんにラーメンを提供する店の責任者。その仕事の基本は、お客さんの注文を受けてラーメンをつくること。店主が生み出した味のラーメンを提供する個人経営の店では、味の決め手になるスープを作る「仕込み」の作業が店主のいちばん大切な仕事だ。その材料をどの業者から仕入れるかを決めるのも店主の仕事。材料費が高いと利益が少なくなる。経営者でもある店主の大切な役目は、材料費を安くおさえて店がもうかるようにすることだ。ちなみに、店名やメニューが統一されているフランチャイズチェーンの場合、フランチャイズの本部がつくったスープや麺を各店に配る仕組みになっていることが多い。フランチャイズ店の店主の大切な仕事は、売り上げを予測して必要な量のスープや麺を本部に注文し、お客さんが期待しているチェーン店の味を守ること。
個人経営店とフランチャイズ店では店主の仕事が異なる部分もあるが、同じところも多い。そのひとつは、お金の管理。開店前はレジにおつりを用意して、閉店後は売り上げを計算する。それを帳簿やパソコンなどに記録して、材料費や光熱費、従業員やアルバイトの給料を支払わなくてはならない。その従業員やアルバイトの採用を決めたり、指導や管理をしたりするも店主の仕事。さらに、お客さんはもちろん、従業員やアルバイトにも居心地のよい店にすることも店主の大切な役目だ。そうやって運営する店で、お客さんに「おいしかった」と言ってもらえたり、長年働いた従業員やアルバイトに「自分も店を持ちたい」と言われたりすることがある。それがラーメン店主がやりがいを感じるときだ。
これがポイント
ラーメン店主を目指す3つの道
ラーメン店主を目指す道は、大きく分けて3つある。1つ目は、ラーメンの作り方やスープの開発、経営方法などを自力で学ぶ「独学」の道。ラーメンを食べ歩いたり、ラーメン店を成功させた人の体験談を参考にしたりして、独自に生み出したラーメンを提供する店の開業を目指す。2つ目は、有名なラーメン店などで従業員やアルバイトとして働きながら、調理方法や経営方法を学ぶ「修業」の道。働きぶりを店主に認められれば、同じ名前の店を開業する「のれん分け」が許される場合がある。また、修業で得た技術や知識を活かして、独立開業する道もある。一方で、何年間も修業しなくても、数日から数週間の短期間でラーメンの作り方や経営方法を学べる「ラーメン学校」もある。独自のスープを開発できる学校もあるので、ラーメンづくり未経験の人や修業を終えて独立開業を目指す人に役立つだろう。3つ目は、フランチャイズチェーンに加盟した店で働く道。フランチャイズとは、加盟した人や会社がフランチャイズを運営する本部に使用料を払って店名や経営方法を使わせてもらう契約。これには、店の所有者である「オーナー店主」になる方法と、オーナーが経営する店の従業員である「やとわれ店主」になる方法がある。チェーン店は統一された味を提供することが求められるので、独自の味を目指す人は向いていない。自分が目標にするラーメン店をよく考えて、それに近づくための道を選ぼう。
ラーメン店の開業に必要な資格
実際にラーメン店を開業する場合、いくつかの許可や資格が必要になる。国家資格である「調理師免許」が必要と思われがちだが、じつは調理師免許がなくてもラーメン店などの飲食店は経営できる。飲食店の経営に必要なのは、「飲食店営業許可」と「食品衛生責任者」。飲食店営業許可は、保健所に申請するもので、営業する店の設備などが審査される。食品衛生責任者は、店の衛生を自主管理するために、食品をあつかう仕事には必ず置くことが義務づけられている制度。この資格は、都道府県の食品衛生協会が行う講習会を受けることで取得できる。ちなみに、調理師免許を持つ者は、講習を受けなくても食品衛生責任者になれる。また、従業員が30人以上の店を経営する場合は「防火管理者」の資格も必要。これも講習を受けることで取得できる資格だ。
将来はこうなる
競争は激しいが世界進出も夢ではない
ラーメンは「国民食」と呼ばれるほど多くの世代に人気がある。ラーメン店は全国いたるところにあり、新しい店もどんどん生まれている。しかし、そのためにラーメン店同士の競争は激しく「開業から1年以内に半分以上が店をやめる」と言われているほどだ。5年以上続けることができる店はほんのわずか。それでも新たに開業する店が多いのは、自分がつくるラーメンの味を信じ、人気店となることを夢見る人が多いからだ。その夢を実現するには、お客さんに「食べたい」と思われるようなラーメンづくりを目指すしかない。そんなラーメンは、外国人にも人気が高く、海外で多くの店を開業している大手ラーメンチェーンもある。自分のラーメンを世界中のお客さんに食べてもらうことは、決してかなわぬ夢ではないのだ。
データボックス
収入は?
店の売り上げによって異なるが、平均年収は305~330万円。行列ができるような人気店になれば、年収1000万円以上も期待できる。
休暇は?
店によって異なるが、週休1日が多い。忙しい土日は、休めるとは限らない。
職場は?
ラーメン店。おもに調理場でラーメンをつくったり、仕込みの作業をしたりする。完成したラーメンを調理場からお客さんのテーブルへ運ぶなど接客もする。
なるためチャート
ラーメン店主の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!