「とび」は、さまざまな建設現場で、おもに高い所での作業を中心に行う。高い所を、まさに飛ぶように動き回る職人であることから「とび」と言われ、鳥の「鳶」をかけて「鳶職人」とも表記される。
こんな人にピッタリ!
高い所が平気な人。身軽な人。体力のある人。高所での作業には特に危険がともなうので、慎重な性格の人。
どんな仕事?
高い所で仕事をする「とび」にもさまざまな種類がある
とびは、住宅やビル、橋、高速道路、ダムなどの建設現場で足場などの組み立てや解体、資材の運搬など、高い所での作業を中心に受け持つ。地元に密着して工務店などの仕事を請け負うのは「町鳶」、大手建設会社のもとで大規模な工事現場で働くとびは「野丁場鳶」などと呼ばれるが、仕事の内容によっても名称はさまざまだ。たとえば、建設現場の足場を組むのは「足場鳶」、鉄骨造の建物の骨組みを組み立てる「鉄骨鳶」、建物内部の大型機械など重量物の設置をおこなう「重量鳶」、その大型機械を動かす「機械鳶」などなど、とびの仕事は専門ごとに分かれている。いずれにせよ、工事が終わると、作業にたずさわった部分が表に出ることはなく、とびは、縁の下の力持ち的存在と言える。
これがポイント!
学歴・資格は必要ないが高所作業は18歳になってから
とびには学歴・資格は必要ない。建築工事や土木工事を請け負う建築会社やその下請け会社、土木会社などに就職し、希望すれば誰でもとびとして働くことができる。最初は見習いからスタートし、現場で技術を身につけながら一人前の職人をめざす。労働安全衛生法で18歳未満は高所作業(高さ2m以上の場所での作業)が禁止されているため、その年齢になるまでは地上で運搬作業などをしながら、仕事の手順などを覚えていく。
とび職人の「三種の神器」を取得しよう
とび職人として働き始めるのに資格は不要だが、キャリアを積んでいく上で必要になってくる資格がある。建設現場では「危険が伴う作業には有資格者を従事させなければならない」と法律で定められており、キャリアアップや転職、将来的な独立をめざす際には資格取得は不可欠だ。代表的なのは、とび職人の「三種の神器」ともいわれる次の3つ。「足場の組立て等作業主任者」、「建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者」、「玉掛作業者」(玉掛はクレーンのフックに荷物をかけたり外したりする作業)。20代、30代はとび職人として一番活躍できる時期だが、そうした時期に将来を見すえて資格取得に挑戦したい。ほかにもとび職人としてのレベルを判定する「とび技能士」という国家技能検定制度もある。
将来はこうなる
人手不足だからこそ技術を磨けば将来は明るい
現在、建設業界は深刻な人手不足に陥っている。危険、きつい、汚い、いわゆる「3K」とされる職業は嫌われる傾向にあり、残念ながらとび職もそのひとつと考えられている。人手不足は継続する見通しで、外国人労働者に頼る企業も多い。しかし、逆に考えれば、優秀なとび職人は引く手あまたということだ。とびは「職人」の名が付くように、経験と技術が求められる専門性の高い職業。確かな技を持つとびの将来は、むしろ明るいといえる。
データボックス
収入は?
平均年収は373~377万円。とびの給料は サラリーマンの月給制とは異なり、日給を単位としてあらかじめ決めた月給から、欠勤や気候条件で働けなかった分を引く日給月給制が多い。腕のいい職人になると、手当などが加わり、ダイレクトに収入に反映される。
休暇は?
建築現場は日曜日と祝日を休みにしているところが多く、とびも基本的にはそれにならう。また、雨や風の強い日など天候によって作業が中止になり、休みになることもある。
職場は?
建築、土木の作業現場。所属する会社の事務所に出社することはほとんどなく、現場に建てられた簡易休憩所などに直行し、仕事を終えたら現地で解散するケースがほとんど。
なるためチャート
とび職人の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!