学習塾で児童や生徒の学習意欲を引き出し、学校の成績を上げたり、中学・高校・大学の受験勉強を指導したりする。
こんな人にピッタリ!
人に何かを教えることが好きな人。相手が理解できるまで、ていねいに根気強く教えることができる人。
どんな仕事?
受け持った児童・生徒を成績アップへ導く勉強を教えるプロ
塾講師の仕事は、「学習塾」で小学生・中学生・高校生の児童や生徒に対して国語や算数などの教科を指導すること。塾講師は、勤務する塾の指導方針や運営方法にしたがって全体の授業計画や毎回の授業内容を練る。授業を通して受け持った児童・生徒の課題を見つけ、やる気を引き出して課題を乗り越えられるように学習指導する。成績アップを児童・生徒本人や保護者から求められるので、塾講師の責任は重い。そのため塾講師は、よりわかりやすい授業を行うための準備や工夫が欠かせない。苦労は多いが、受け持った児童・生徒が勉強を好きになって成績アップしたり、受験に志望校に合格できたという報告を聞いたりすると、大きなやりがいを感じるという。
目的や授業のやり方で種類が分けられる
学習塾は、指導の目的によって「補習塾」と「進学塾」の2つに分けられる。補習塾は、学校の授業計画に合わせた予習・復習を行うことで日々の授業内容を理解しやすくして、学校の成績アップにつながる指導を行う。進学塾は、中学・高校・大学の受験をひかえた児童・生徒に対して、志望校への合格を目的に入試で高得点を取れるような指導をする。ちなみに、補習塾と進学塾を合わせた「総合学習塾」。算数や英語など特定の科目を指導したり、中学受験専門・高校受験専門といった対象をしぼったりした「専門塾」もある。
また、指導する人数でも学習塾は2つに分かれる。広い教室で大人数の児童・生徒に指導する「集団指導塾」と、児童・生徒ひとりひとりに合わせて指導する「個別指導塾」だ。集団指導では多くの児童・生徒全員を同時に指導する大変さがあり、個別指導ではそれぞれの児童・生徒の学力や性格に合わせて指導する大変さがある。
このほか学校の成績ではなく、思考力や表現力などを養うための「探求型学習塾」というものもある。
これがポイント!
勉強を教える技術をみがく努力は欠かせない
学校の先生になるには「教員免許」が必要だが、塾講師には教員免許などの資格は必要ない。多くの場合、それぞれの塾の採用試験や面接に合格することでその塾の講師になれる。塾講師に求められる能力は、「学力」「コミュニケーション能力」「強い責任感」の3つ。当然のことながら、児童・生徒に教科を教えるには、それなりの学力は不可欠。また、児童・生徒の気持ちを理解して気を配りながら接するためには、コミュニケーション能力が必要。そして『自分の指導で児童・生徒の学力や学校の成績・テストの得点を向上させる』という強い責任感が大切だ。
進学塾の場合、講師自身の受験勉強の経験が授業に役立つこともあるので、有名進学校や有名大学の卒業生や在校生という学歴が重視されることもある。一方で、学歴よりも人柄・社会経験・教える技術などを重視する塾も少なくない。
ちなみに塾講師は、それぞれの塾の正社員よりも、学生アルバイトやパートなどの非正規社員として働いている人が多い。経済産業省の2020年の調査では、正社員は13%、アルバイトやパートが73%だった。
また、学習塾を経営する場合も特別な資格は不要。個人で学習塾を開業する場合、税務署に「開業届」を提出するだけだ。しかし、学校の成績や進学は児童・生徒の人生に関わるため、塾講師は勉強を教えるプロとして責任が重大だ。
塾講師を目指す人が取得しておくと有利になりそうな資格
塾講師になるために、取得しておくと採用時の選考で有利になりそうな資格がある。まず「教員免許」。学力や専門知識があることの証明になる。同じく、国語・数学(算数)・英語の学力や専門知識の証明として公益財団法人日本漢字能力検定協会が行う「日本漢字能力検定(漢検)」、公益財団法人日本数学検定協会が行う「実用数学技能検定(数検)」、公益財団法人日本英語検定協会が行う「実用英語技能検定(英検)」がある。英語力を証明する場合は、一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IiBC)が行う「TOEIC」もある。
また、公益社団法人全国学習塾協会では、優れた人材の確保・育成を目指して「学習塾講師検定」を行っている。「学習塾指導者認定」と「学習塾講師集団指導2級・1級」の3つの資格があり、学習塾講師集団指導1級は2級を取得しないと受験できない。塾講師に求められる知識・技術・能力を備えているかを証明するものなので、実際に講師としての経験を積んでから取得するといいだろう。独立して自分の学習塾を開業するときには、こうした資格を取得しておくと自信につながるかもしれない。
将来はこうなる
少子化で教育熱が高まり、塾講師への期待も高まる
現在の日本は、子どもの数が減っている「少子化」が進んでいる。1982年から42年連続で減少している15歳未満の子どもの人口は、2023年4月現在、過去最少の1435万人だった。この流れは今後も続き、将来的には学習塾を利用する児童・生徒の数も減っていくと考えられる。ところが、最近は子ども1人当たりの教育費が年々増加し、学習塾業界の売上と学習塾に通う児童・生徒の数が増えている。多くの保護者が教育に熱心になり、子どもの学校の成績アップや受験合格を期待して学習塾へ通わせているようだ。少子化が加速すれば、その思いはさらに強くなる。それに応えるために、塾講師はこれまで以上に「勉強を教える技術」を高めていく必要があるだろう。また、これからの学習塾は、学校で使われているタブレット端末のようなデジタル機器やオンライン学習の導入、AIの活用などが増えると予想される。それらをどのように利用すればよりよい指導ができるのか。それを研究・実行するのも、これから塾講師を目指す人の大切な役目になるだろう。
データボックス
収入は?
平均年収は、411~552万円。所属する学習塾の規定や正規社員・アルバイト・パートなどの働き方によって異なる。能力や実績がある講師の中には、複数の塾をかけもちして授業を行い、高収入を得ている人もいる。
休暇は?
学習塾は、学校が休みである土曜日・日曜日に授業や自習室の開放をしていることが多いので、塾講師は平日に休暇を取ることが多い。また、学習塾の授業は、学校の授業が終わったころに始まり、午後10時ころに終わる。学校の夏休みや冬休みには、学習塾も朝から授業を始めることがある。受け持つ授業に合わせて出勤することになるが、授業の予習や準備、児童・生徒や保護者との面談などもある。
職場は?
所属する学習塾。広い教室で集団指導したり、個室で個別指導する。また事務室でテストの採点や授業の準備などを行う。
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