飛行中の航空機を見守り、離着陸の順番などを指示して空港の混雑を防ぐ、空の交通整理役。
こんな人にピッタリ!
人命に関わる仕事なので、責任感があり、どんなときでも落ち着いて判断を下せる冷静さが必要。航空管制には多くの人が関わるので、協調性も欠かせない。
どんな仕事?
自分の目とレーダーをフルに使って空の安全を守る
航空機が離陸してから着陸するまで、安全に運航できるように、飛行する高さ・距離・方向、離着陸の順番などを無線を使ってパイロットに指示する。そんな航空管制官の仕事は、働く場所や担当する業務内容によって3つに分けられる。1つ目は「飛行場管制」。周囲を見渡せる空港の管制塔で航空機を自分の目で確認しながら、離着陸の許可や飛行する方角などを指示する。担当する空域は、空港を中心に約9キロメートル。2つ目は「レーダー管制」。空港のレーダー管制室にあるレーダーで航空機をとらえ、離着陸の順番や上昇・下降する方向や高さなどを指示する。担当する空域は、空港から約100キロメートル。3つ目は「航空路管制」。空港と空港の間の上空を飛行する航空機をレーダーでとらえ、飛行する方向や高さなどを指示する。この仕事は、空港ではなく、札幌・東京・神戸・福岡にある航空交通管制部でおこなわれている。しかも、日本の空港を利用する航空機だけでなく、日本上空を通過する航空機にも管制業務を提供する。そうやってパイロットに安心をあたえる航空管制官は、空の交通整理のスペシャリスト。航空機の事故を未然に防ぐ大切な仕事だ。
これがポイント!
管制官になる国家公務員試験を受ける
航空管制官は、国家公務員の専門職のひとつ。その仕事に就くには「航空管制官採用試験」に合格しなくてはならない。受検資格は、21歳以上30歳未満で、大学卒業者や卒業見込みの人、または短大や高等専門学校卒業者や卒業見込みの人。試験内容は、公務員に必要な知識と教養が問われる基本的な試験と、航空管制官にふさわしいかを調べる適正試験に分かれている。とくに、航空管制官とパイロットのやり取りは英語で行われるので、航空管制官採用試験では英語の聞き取りや英会話によって英語力が試される。また、航空機は自動車のように二次元の平面を移動するだけでなく、高さがある三次元の立体的な空間を移動する。2機の航空機が高さの異なる同じ点を交差することもあるのだ。そうした三次元空間をイメージできる人材が航空管制官には求められる。専門的な能力が試される航空管制官採用試験の倍率は、国家公務員試験のなかではかなり高い。
採用試験合格後と自衛隊の航空管制官
航空管制官採用試験に合格しても、すぐに管制官として働けるわけではない。航空管制官に採用された後は、大阪にある「航空保安大学校」で、約8か月間の研修を受ける。研修終了後は、全国各地の空港や航空交通管制部に配属される。そこで技能訓練や専門研修を受け、技能証明と業務資格を取得する。たとえば空港では「飛行場管制」と「レーダー管制」の2種類の業務があり、それぞれの業務をおこなうために必用な資格試験を受け、技能証明を取得するのだ。そうしてようやく航空管制官として仕事ができるようになる。
一方、航空自衛隊も、全国に15か所にある自衛隊の飛行場で航空交通管制業務をおこなっている。航空自衛隊の航空管制官になるには、航空自衛隊に入隊した後、身体検査や英語能力をふくむ適正検査に合格し、航空管制要員に選ばれる必要がある。それに選ばれた隊員は、愛知県の小牧基地にある学校で約1年間航空管制官になるための基本を学ぶ。その学校を卒業後、全国の管制部隊に配属されて訓練を積む。約1年から3年かけて「航空交通管制技能証明」という国家資格を取得することで、一人前の航空管制官になれる。
将来はこうなる
空港の利用が増えて航空管制官の仕事も増える
日本は、観光を国の大きな収入源にする「観光立国」になることを目指している。2030年までには訪日外国人旅行者数を6000万人にするため、東京の羽田空港と千葉の成田空港の航空着発着数を年間約100万回にする計画を立てているほどだ。それと同時に全国の空港の発着数も増加することが予想される。これからも航空管制官の仕事は増えていくだろう。発着便が増えることで運航も複雑になり、管制業務の小さなミスによって空港機能がマヒする大きなトラブルに発展する危険もある。空の安全を担う航空管制官の仕事は、さらに大切になっていくことはまちがいない。
データボックス
収入は?
平均年収は466~649万円。航空管制官採用試験に合格して航空保安大学校での研修期間中も給与は支給される。研修終了後の給与には、航空管制手当、夜間特殊勤務手当、夜勤手当などがつく。
休暇は?
配属される空港の運用時間によって勤務体制は異なるが、一般的には早番・遅番・夜勤・休日を繰り返す。休みは週二日くらいのペースで取ることができる。有給休暇も1年に20日取ることができる。
職場は?
各空港の管制塔、レーダールーム、航空交通管制部など。数年ごとに全国規模で人事異動があり、各地を転勤する。
なるためチャート
航空管制官の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!