自動車レースの最高峰として知られるF1(フォーミュラ・ワン)レースに出場する、注目度の高い花形ドライバー。
こんな人にピッタリ!
目標に向って地道に努力ができる人。自動車の運転が得意な人。チームワークを心がけられる人。
どんな仕事?
世界大会に出場して、チャンピオンを目指す
F1レースは、フォーミュラカーと呼ばれるレース専用の一人乗り車両によって競われる自動車競技大会。「フォーミュラ」とは「規格」の意味。「車輪とドライバーが、むき出しになっている」という規格にそって設計された競技用マシンがフォーミュラカーだ。スピード重視で開発された自動車なので、最高時速は300キロメートル以上になる。そんな高性能マシンを運転するのがF1ドライバー。レースに出走できるマシンは、一つのレーシングチームにつき2台。参戦可能なチームは最大13チームなので、最大で26台。つまり、F1ドライバーは、最大で世界に26人だけの選ばれしレーサーなのだ。(2022年現在は10チーム・20人)。F1レースは毎年約20戦が世界各国で開催されるので、F1ドライバーもチームとともに各国を転戦する。それぞれの国によって走行するコースは異なり、カーブや直線が配置されたレーシングサーキットもあれば、市街地を利用したコースもある。そこで激しい競走を繰り広げるF1ドライバーには、高度な運転技術に加えて、競走で優位に立つためのかけひきの上手さも必要だ。ときには、マシン同士の接触やコースを外れて壁面などに激突する事故も起こる。少しのミスで命を落とすこともある危険な仕事でもあるのだ。また、レース中、マシンを最適な状態に保つために、チームの仲間が待機するピット(整備場)にマシンを停止させてタイヤ交換や燃料補給を何度か行う。それを行うタイミングや作業にかかる時間はレースの順位に大きく関わるので、F1ドライバーもふくめたチームワークはとても重要だ。レースを終えると、順位によって「チャンピオンシップ・ポイント」と呼ばれる点数がF1ドライバーとチームに与えられる。その獲得ポイントが最も多いF1ドライバーとチームが年間王者「ワールドチャンピオン」として認められるのだ。さらに、成績に応じた賞金がチームに贈られる。ただし、レーシングチームの運営には大変な費用がかかり、賞金だけでは足りない。そこで、ほとんどのチームには費用を提供するスポンサーがついている。スポンサーの期待に応えるためにも、F1ドライバーはチームと協力してチャンピオンを目指して戦うのだ。
これがポイント!
幼いころからレースに出場してフォーミュラレースを目指す
ほとんどのF1ドライバーは、幼いころに「レーシングカート」と呼ばれる小型の競技用車両による競技大会「カートレース」を経験している。F1ドライバーを目指す人は、まずカートレースから始めてみよう。フォーミュラレースを体験したい場合は、レーシングスクールに入学して技術を学ぼう。実力が認められてレーシングチームにスカウトされたら、出場するレースで好成績を上げることに全力をつくす。優秀な実績を重ねていけば、格上のレースに参戦するチームの目に止まるだろう。そうやって「ジュニア・フォーミュラ」や「フォーミュラ4(F4)」、「フォーミュラ3(F3)」、「フォーミュラ2(F2)」や「全日本スーパーフォーミュラ(SF)」、そして目標である「フォーミュラ1(F1)」へとステップアップしていくのだ。ちなみに、2022年までにF1ドライバーを務めた日本人は21人。残念ながらワールドチャンピオンになった者はまだいない。2022年現在は、イタリアに本拠地があるチーム「アルファタウリ」に所属する角田裕毅選手が活躍している。
レースに出場するために必要なライセンスを取得する
国内のモータースポーツ大会に参加するには、JAF(日本自動車連盟)が発行する「モータースポーツライセンス(競技参加者許可証)」という免許が必要だ。カート競技会に出場するには「カートライセンス」。その格上になるレースに出場するには、まず、「国内Bライセンス」を取得してから、次に「国内Aライセンス」を取得する。国際大会に出場するには「国際C-Cライセンス」、「国際Bライセンス」、「国際Aライセンス」が必要だ。さらにF1レースに出場するには、F1レースを開催するFIA(国際自動車連盟)が発行する「スーパーライセンス」が必要になる。レースの出場実績などが取得条件になっているので、限られたドライバーだけに与えられる特別なライセンスだ。ちなみに、レースに出場する者は、基本的に普通自動車免許を取得していなくてはならない。ただし、普通自動車免許が取得できない16 歳以上18歳未満の者でも、カートレースの出場実績があれば「限定国内Aライセンス」を取得できる。ちなみに、カートライセンスには、対象年齢が異なるものがいくつかある。国内ライセンスは「ジュニアB(8歳から14歳)」、「ジュニアA(12歳から14歳)」、「カート国内B・A(15歳以上)」。国際ライセンスは「国際E(15歳以上)、「国際F(14歳以上)、「国際G(12歳から13歳)」がある。
将来はこうなる
カーボンニュートラルを目指す新型エンジンに注目
F1マシンは、大量生産される市販車とは異なり、各チームが独自開発するオーダーメイドだ。独自といっても、自由にならない部分も多い。車両に関する共通のルールである「テクニカルレギュレーション」が細かく決まっているのだ。マシンの心臓部といえるエンジンに関する最新レギュレーションでは「2026年以降は燃料を化石燃料から持続可能な食品ゴミなどを利用した人工燃料にする」とされている。エンジンから出る二酸化炭素の量を限りなく減らし、カーボンニュートラル(脱炭素)を目指すためだ。近い将来、どのような新型エンジンが生まれ、どのような性能を発揮するのかにも注目しておきたい。
データボックス
収入は?
契約金などを正式に発表することが少ないため、おおよその年収しか分からないが、世界的に有名なF1ドライバーであれば数十億円が相場のようだ。ただし、これだけの年収をかせげるようになるまでには、時間と費用がかかることを心得ておこう。
休暇は?
レースがないオフシーズンに休みを取る。
職場は?
開催国のサーキットなどのレース会場。
なるためチャート
F1ドライバーの仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!