産業用ロボットや医療ロボットなどを開発する。
こんな人にピッタリ!
物づくりが好きな人。手先が器用な人。こつこつ調査したり、研究したりするのが好きな人。ほかの人と協力して仕事ができる人。
どんな仕事?
社会に役立つロボットをチームで開発する
人間の代わりに作業したり、人間の仕事を助ける便利な機械・ロボット。現在は、工場などで働く産業用ロボット、医療や介護の現場で役立つロボット、家庭用の掃除ロボットやロボットトイ(おもちゃ)といった、さまざまなロボットが実用化されている。そうしたロボットを生み出すのがロボット開発技術者だ。その仕事は、ロボット本体そのものの設計、ロボットの動きに関わるセンサーやモーターの開発、ロボットの動きを制御するコンピューターのプログラミングなど、多方面にわたる。ロボット開発技術者には、工業系の幅広い知識や高い技術・能力が求められるのだ。そのため、専門分野ごとにチームを組み、各分野で生み出したものを組み合わせて一つのロボットを開発することが多い。これまでにないアイデアを発想する想像力も大切だが、多くの人と協力して作業を進める協調性も必要だ。また、海外の開発チームと協力する場合には、英語などの語学力も重要。工学系の最先端の技術を使って、これまでになかった社会に役立つ新たな機械・ロボットを作り出す。それがこの仕事の魅力だ。
これがポイント!
工業系や工学系の大学や高等専門学校で学ぶ
ロボットは、機械工学や電気工学の最先端技術の集合体。そのため、ロボット開発技術者になるには、専門の学部がある工業系や工学系の大学や専門学校で、ロボット工学の基礎を学ぶことが不可欠だ。そして卒業後、実際にロボット開発を行っている会社に就職するのが一般的。大学から大学院に進学し、より高度なロボット工学の知識を学んでから就職する道もある。また、中学校卒業後に5年間の専門教育を受ける「高等専門学校(高専)」にもロボット工学を学ぶコースを設けた学校がある。高専の有名なイベントは、全国の高専生徒が参加する「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト」だろう。高専卒業生に対する産業界からの評価は高く、就職率も高い。ロボットを開発する会社に就職するだけなく、自分でロボットや人工知能を開発する会社を起業する卒業生もいる。ロボット開発技術者を目指す人にとっては、有力な進学先の一つだろう。
ロボット開発技術者の仕事に役立つ資格
ロボット開発技術者になるために必要な資格はとくにないが、取得することで知識・技術の高さの証明になる試験はいくつかある。プログラミングなどの情報処理に関する知識や技能が問われる「情報処理技術者試験」は、経済産業省が認定する国家資格。一般社団法人コンピュータ教育振興協会が主催する「CAD利用技術者試験」は、コンピューター上で設計・製図を行うシステムであるCADオペレーターの民間資格。一般社団法人日本機械設計工業会による「機械設計技術者試験」は、材料力学や機械力学ほか機械設計に関する技術力の証明になる民間資格。一般財団法人電気技術者試験センターが実施する「電気主任技術者試験」は、機械制御に不可欠な電子・電気に関する技術と知識が試される国家資格。取得することで仕事の幅が広がるだけでなく、就職に有利になることもある。
将来はこうなる
ロボットの高度化・複雑化にともない、求められる能力も高まる
日本は、世界一の産業用ロボット生産国。世界で稼働する産業用ロボットの6割弱が日本製だ。今後もロボットの市場は広まっていくと予測されるが、その市場の約半分はサービスロボットの分野だと言われている。サービスロボットとは、産業用ロボット以外のロボットのこと。AIを搭載した家電製品、医療用ロボット、人間と会話を交わすコミュニケーションロボット、遠隔操作型の建設機械ロボット、荷物を運んだり人間を移動させたりするロボット、装着した人間の動作を補助するロボットスーツ、宇宙・深海・原子炉などの危険な場所で使われる機械の手・マニピュレータ、ドローンなど、多種多様なサービスロボットがある。市場が広まれば、その種類はさらに増えていくに違いない。しかも、それぞれのロボットの性能もどんどん高度化・複雑化していくのは明らかだ。そうなれば、ロボット開発技術者にはより高い技術や能力が求められるだろう。どのような要求にもこたえられるように、幅広い経験を積み、知識や技術、困難の解消に役立つ発想力を養っていくことが大切だ。
データボックス
収入は?
就職先によって異なるが、会社員の場合、平均年収は550~700万円。
休暇は?
就職先によって異なるが、基本的に週休二日制。ロボットの納期が近い時は残業が続くこともある。
職場は?
会社のロボット開発室、ロボット研究を行う大学の研究室など。
なるためチャート
ロボット開発技術者の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!