小説や実用書などの本、マンガ誌、ファッション誌などの雑誌…。すべての本は編集者によって企画され、作られている。本作りの行程の最初から最後まで関わる大切な仕事!
こんな人にピッタリ!
本や雑誌を読むことが好きな人。クラスの文集や学級新聞などを作るのが楽しいと思ったことのある人が向いている。編集という仕事は、世の中の人がおもしろいと思うことを本にする仕事なので、普段からいろいろなことに興味、感心を持って、流行に敏感であることが求められる。また、作家やイラストレーター、カメラマン、グラフィックデザイナーなど、いろんな人と協力して本を作っていくので、コミュニケーション能力、協調性、リーダーシップなども必要だ。
どんな仕事?
本の企画から完成までオールマイティーな能力が必要
本や雑誌の編集とは、多くの文章、写真、イラストなどの素材を集めて、一冊にまとめること。そんな編集の仕事の第一歩は、どんな本や雑誌にするのかという企画を立てること。その本を作るためにはどんな人に協力してもらい、どういうスケジュールで仕上げるか、必要な予算はいくらになるのかなどを考える。本格的に本作りがスタートすると、まず、小説などを書く作家、さし絵を描くイラストレーター、マンガ家などに原稿をお願いする。取材記事がある場合は、取材相手に連絡を取る。基本的に編集者は原稿を書かないが、記事を書くライターの取材やカメラマンによる写真撮影に立ちあうこともある。また、小説や記事原稿が予定通り完成するように作家やライターを管理するのも編集者の仕事だ。原稿が完成すると、編集者は文字や内容に誤りがないかを確認する。さらに、誌面をきれいに見せるため、グラフィックデザイナーに本全体のデザインをお願いする。すべての素材がそろったらパソコンで印刷用データをまとめて印刷所へ送り、試し刷りをチェックする校正という作業を行う。そこで問題がなければ実際に印刷して本が完成する。そうした本作りの工程すべてに関わるのが編集者の仕事だ。このうち、特に重要なのは企画の立案だ。そのため編集者は、日ごろから本で取り上げられそうなネタを探して、新聞、雑誌、テレビ、インターネットなどをこまめにチェックしたり、人脈を広げて知識や情報を増やしている人が多い。ほかにも、自分の作った本を書店に並べてもらうために、営業の仕事をこなすこともある。ちなみに、マンガ雑誌の編集者の場合は、マンガ家と担当編集者が二人三脚で物語の世界や登場人物のキャラクターを作りあげていくことが多い。担当編集者がやるべきことはほかにもたくさんある。マンガを描く設計図となる「ネーム」の打ち合わせ、資料集め、原稿のチェック、修正の指示、作業の進行具合の確認などだ。作品作りに深く関わる担当編集者は、マンガ制作においてとても重要な役割を担っていると言えるだろう。
これがポイント!
大手出版社を希望するなら大学へ進学しよう
編集者になるために必要な資格はないが、学歴を問われることがある。編集者になるには出版社に入社する方法が考えられるが、大手出版社や新聞社の出版局などは、入社試験の受験資格を4年生大学卒業者としていることがほとんど。そうした出版社への入社を希望する人は、まずは大学へ進学することを目標にしよう。だが、大手出版社の場合、入社できても希望する編集部へ配属されるとは限らない。宣伝部、営業部、出版企画部などで出版の世界の経験を積みながら編集部へ配属されるチャンスを待つことになるかもしれない。ただ、大学の4年間も同じことが言えるが、あらゆる経験が本作りのネタになる可能性がある。さまざまなことに積極的に取り組みたいものだ。
中小出版社や編集プロダクションを目指す
中小出版社や出版社の下請け的な仕事をする編集プロダクションは、採用条件に学歴を問わない場合が多い。新卒者ではなく経験者の中途採用が中心だが、短大や専門学校卒業者に門戸を開いているところもある。高校卒業後に専門学校に進学して、編集の基礎的な知識を身につけてからそういった職場に就職する人もいる。また、中小出版社や編集プロダクションは、契約社員やアルバイトを募集することもある。それに応募して編集の手伝いをしながらノウハウを身につけることで正社員になる人もいるし、フリーランスの編集者として仕事を得る人もいる。編集者は何よりも実務経験が重視される仕事なので、さまざまな作業にチャレンジして、実際に多くの失敗と成功を体験することが大切だ。
将来はこうなる
印刷物とウェブサイトの編集技術を身につける
現在、日本人は昔ほど読書をしなくなり、紙に印刷された本や雑誌が売れなくなっている。その代わり、インターネットのウェブサイトで読める電子書籍などのデジタルコンテンツの市場がどんどん広がっている。そうしたウェブサイトで公開される小説、マンガ、記事にも編集者がいる。編集作業の流れは、紙に印刷される本もウェブサイトで公開される記事もほぼ同じだ。しかし、ウェブサイトの場合、公開までの作業期間が印刷物より格段に短く、読者からの反応もすぐにわかる。そこで、より多くの読者を集めるためにネットの検索エンジンの上位に表示されるように工夫するなど、ウェブサイトならではの技術も必要になってくる。これからは、基本的な印刷物の編集技術とウェブサイトの編集技術の両方を身につけた編集者が求められるだろう。
データボックス
収入は?
平均年収は402~740万円。大手出版社は他産業に比べてかなりの高水準といえる。ただし、圧倒的多数を占める小規模の出版社や編集プロダクションでは、不規則で拘束の長い労働時間の割りに、収入は恵まれているとはいえない。本作りが好きだという情熱がないとやっていけないだろう。
休暇は?
基本的には週休二日制だが、所属する編集部によってさまざま。発行までに長期間かかる本をあつかう編集者はほぼカレンダーどおりに休めるが、週刊誌や月刊誌などの定期的に発行される雑誌の編集者はカレンダーどおりの休暇は望めない。どのような会社に勤めるにしろ、本作りのスケジュールが優先されるので、締め切り前は休日出勤や連日の徹夜もあたりまえだ。
職場は?
出版社、新聞社、それらの下請け業務をする編集プロダクションがおもな職場。
なるためチャート
編集者の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!