テレビ局の「顔」ともいえるアナウンサー。情報を伝えるだけでなく、時にはタレントのような仕事もすることも!
こんな人にピッタリ!
相手に伝わりやすいハキハキとした話し方や言葉づかいができる人。知性、教養はもちろん、世の中の動きをとらえる力も必要だし、番組中に予想外のことが起きてもあわてることなく進行できる度胸も重要。でも、一番大切なのは、いろんな人から愛される親しみやすさなど、人をひきつける力をもっていること。
どんな仕事?
はなやかな職業だが、見えない所での努力が大切
テレビ局やラジオ局のアナウンサーの基本的な仕事は、ニュース番組で取材記者が書いたニュース原稿を読み上げること。アナウンサー自身が現場で取材をして、集めた情報を伝えることもある。ニュースを正しくわかりやすく伝えるためには、幅広い知識を身につけておく必要があり、読み間違えのないように事前に人名や地名をチェックすることも大切だ。スポーツ番組では、アナウンサーが試合の実況中継を担当する。試合の様子や選手のプレーを正しく伝えるほか、注目すべきポイントを解説者にたずねたり、試合後の選手や監督のインタビューも担当したりする。そのためには、担当するスポーツをしっかり勉強して理解しておかなくてはならない。また、トーク番組やクイズ番組などのバラエティ番組では、アナウンサーが司会や司会のアシスタントとして番組をスムーズに進行する役目をすることが多い。ゲストの話を聞き出すには、事前にゲストのことを調べたり質問方法を考えて、ゲストが話しやすいようにする。生放送の場合は放送時間が決まっているので、番組進行にも気を配らなくてはならない。ほかにも、ドキュメンタリー番組のナレーションやテレビ局が主催するイベントの司会などを務めることもある。アナウンサーはテレビ局やラジオ局の社員なので、番組収録などの仕事がないときは、所属するアナウンス部の部屋の電話の取り次ぎなどの事務仕事もする。とくに地方局の場合は規模が小さいので、アナウンサーが取材記者、カメラマン、映像を編集する仕事まで手がけることもある。一方で、人気者になったアナウンサーのなかには、テレビ局やラジオ局を辞めてフリーランスや芸能プロダクションに所属し、タレント活動をすることもある。
これがポイント!
大学を卒業して放送局の採用試験を受ける
テレビ局やラジオ局のアナウンサーになるための特別な資格はない。放送局の入社試験に合格して、その局の社員として働くのがふつうだ。だが、ほとんどの局がアナウンサーの採用条件を4年生大学卒業以上としている。本気でアナウンサーを希望するのなら、まずは大学進学を目指そう。また、どの局もアナウンサーは数名しか採用しないので、競争率はとてもはげしい。地方局の場合は毎年アナウンサーを採用するとは限らないほどだ。そのためアナウンサー希望者には、大学生のうちからアナウンサー専門学校や養成スクールに通って発声やアクセントのトレーニングなどを重ね、採用試験に備えている人が多い。アナウンサーの技術だけでなく、サークル活動や友人とのつき合いを通して、人をひきつける力もみがいておこう。
フリーのアナウンサーになる手もある
大学やアナウンサー養成スクールを卒業後、放送局の社員にならずに、芸能プロダクションなどにフリーアナウンサーとして登録する人も多い。番組コーナーのお天気キャスターといった地道な活動を続けて人気者となり、各局の番組に出演するようになったフリーアナウンサーもいる。地上波だけでなく、衛星放送やインターネットなどの番組が増えたことから、社員アナウンサーだけでは足りず、フリーアナウンサーを起用するケースがふえているようだ。タレントのようにいろいろな局で仕事をこなしたいと考える人には、フリーアナウンサーを目指すのもいいかもしれない。ただし、会社員である局のアナウンサーと違って給料や勤務条件が安定しないので、より自分の個性や実力をアピールして多くの仕事をもらうための努力が欠かせないだろう。
将来はこうなる
番組の企画から参加する
現在NHKでは、人工知能による「AIアナウンサー」が一部の番組でニュースを読み上げている。記者がパソコンに打ちこんだ原稿をAIの音声合成装置が読み上げる仕組みだ。アナウンサーの話し方を学習したAIは、より自然に近い音声と話し方ができる。民放各局でもAIアナウンサーは開発されており、インターネットの番組などで運用されている。まだ人間のアナウンサーのように臨機応変に対応できるまでには完成されていないので、AIアナウンサーが人間のアナウンサーの仕事をうばう、なんてことはない。だが、将来的には、1日をふりかえる深夜のニュースなど単調な情報はAIアナウンサーに任せ、人間のアナウンサーは緊急時や災害時の速報など重要な情報を伝えることに専念するなど、それぞれ活躍する場を分けてもいいかもしれない。それによって時間ができたアナウンサーは、会話力を活かして取材に力を入れるなど、ニュースの内容を深めることができるだろう。また、番組の顔であるアナウンサーは、今や単なる司会進行役というより、ニュースキャスターやタレントの役目をこなすことも多い。そのため、番組の企画段階からか関わるなど、番組作りに積極的に参加することが増えてくるだろう。
データボックス
収入は?
NHKか民間放送局か、キー局か地方局か、テレビ局かラジオ局かで変わってくる。平均年収は412~530万円。また、フリーランスの場合は仕事量による。平均年収は514~630万円。
休暇は?
担当する番組による。平日の番組を担当している場合は土日や祝日に休めるが、土日の番組を担当していると平日に休む。また、担当する番組の放送時間によって、早朝勤務、夜間勤務などがある。また、年末年始やお盆などの長期休暇は、カレンダー通りに取るのはむずかしい。フリーランスの場合も、担当する番組によって休暇は変わってくる。
職場は?
おもにテレビ局やラジオ局のスタジオやアナウンス部の部屋。スポーツ中継の場合は、競技場や試合会場。事件現場で取材し、実況することもある。
なるためチャート
アナウンサーの仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!