テレビ、ラジオ、映画、CMなどの「語り」を担当する声の仕事。
こんな人にピッタリ!
朗読など、声で表現することが好きな人。声の表現力が豊かな人。人をひきつける声を持っている人。
どんな仕事?
様々な場面でさりげなく人々に情報を伝える
テレビ・ラジオ・映画・CMなどで、物語の筋・登場人物の気持ち・商品の説明などを音声で伝える「語り」をナレーションといい、それを担当する人をナレーターという。とくにテレビのバラエティ番組は、ナレーターの独特な声や言い回しが番組を盛り上げる演出になっていることが多い。ドキュメンタリー番組や報道番組でも、内容に合った落ち着いた声や話し方で見る人に強い印象をあたえるのがナレーターの役目だ。その仕事の手順は、まず番組のスタッフが作ったナレーションの台本をもらい、台本を読む速度や声色、口調などを打ち合わせる。そして、映像に合わせる場合は実際に映像を見ながら、映像に合わせる必要のない場合は時間に注意しながら録音する。生放送の場合は失敗できないので、何度もリハーサルを繰り返して本番に臨むのだ。ナレーターの難しさは、印象に残る声でありながら、映像のじゃまになってはいけないし、決められた時間内に必要な情報を伝えなくてはいけないところ。とくにCMは、15秒から60秒という短い時間内に収まるように台本を読む技術が求められる。ナレーターが必要とされているのは、テレビやCMだけではない。鉄道の停車駅や乗りかえ案内などを乗客に告げる「車内放送」でも、録音された自動音声をナレーターが担当している。生活に関わる様々な場面でさりげなく活躍しているナレーターは、重要な縁の下の力持ちだ。
これがポイント!
まずは養成所やスクールに通う
ナレーターになるための特別な資格はなく、学歴も問われない。しかし、声で表現することに関して何の経験もない人がナレーターになれる可能性はほとんどない。まずはナレーター養成所やナレーターコースがあるアナウンススクールなどの専門学校に通い、基本的な発声技術、声を使った表現方法を学ぼう。声の演技力を身につけるには、声優養成所もおすすめだ。そうした養成所で実力をみがいて声優やタレント事務所などの芸能プロダクションに所属できれば、テレビ・映画・CMのオーディションを受けるチャンスにつながる。一方で、事務所に所属しないフリーランスとしてオーディションに参加する道もある。事務所所属でもフリーランスでも、オーディションに合格するのはその人の実力次第。個人の力量が問われる仕事なので、つねに自分をみがく努力が必要だ。
ナレーター、アナウンサー、声優の伝え方がちがう
ナレーターのように声を使って表現する仕事に、アナウンサーや声優もある。それぞれの仕事は伝え方にちがいがある。アナウンサーは、ニュースの原稿を正しい発音で決められた時間内に読み、情報を正確に伝えるのが仕事だ。ただし、明るいニュースも暗いニュースも同じ調子で読まなくてはならないので、感情をこめない読み方が求められる。声優は、アニメのキャラクターなどを声で演じる仕事。見る人の気持ちを動かすために、登場人物の台詞を感情こめて伝える演技力が大切だ。そんな二つの仕事の良さである「正確に情報を伝える技術、人を感動させる演技力」の両方を備えているのがナレーター。現在バラエティ番組で活躍しているナレーターの多くがベテラン声優であることからも、ナレーターには、人をひきつける声で正確に伝える表現力が求められるのだ。
将来はこうなる
つねに自分をみがく心がまえが必要
現在はナレーターが活躍する場が増えている。これまでのテレビ・ラジオ・映画・CMに加えて、衛星放送やインターネットの動画番組など、ナレーションが必要な映像があふれているからだ。一般放送用の映像だけでなく、会社が仕事用に作る一般には非公開のビデオや動画もある。また、博物館や美術館などの館内放送、銀行のATM・カーナビ・家電製品などの案内用音声、展示会などで商品紹介をするナレーターコンパニオンと呼ばれる仕事もある。そうした場面でしっかり言葉を話せたり、機転の利いたコメントができたりする人であれば、ナレーターとして活躍できるだろう。さらに、声にはその人の「人間性」が表れるという。声を仕事にするナレーターは、つねに自分をみがく心がまえが必要だ。
データボックス
収入は?
仕事内容、経験、知名度によって様々。平均年収は514~630万円。
休暇は?
仕事の内容によってちがってくる。スケジュールによっては、土日が仕事になることもある。
職場は?
テレビ局、ラジオ局、番組制作会社、録音スタジオ。フリーランスの場合、自宅で録音することもある。
なるためチャート
ナレーターの仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!