長野県、富山県、岐阜県などの高い山々がある県で、人命救助のために作られた警察官による特別チーム。警察によっては「山岳遭難救助隊」と呼ぶこともある。
こんな人にピッタリ!
心身共に健康な人。仲間と協力して行動できる人。人の役に立つことに喜びを感じる人。リーダーシップが取れる人。登山経験の豊富な人。
どんな仕事?
山岳地帯で命懸けのレスキューを行う
高く険しい山々での事故を防ぐために、登山者に安全を呼びかけたり、遭難者を救助したりするのが仕事だ。冬場は荒れ狂う吹雪や雪崩の危険の中、救助作業にあたることもある。遭難現場では、民間協力隊、山小屋関係者、交通機関の関係者の協力を得ながら救助にあたる場合が多く、正しい判断力とリーダーシップが求められる。また、あらゆる遭難現場に対応できるように、隊員は日々厳しい訓練に励む。隊員として一人前になるには、最低でも5~6年はかかると言われている。現場が厳しければ厳しいほど、感謝される仕事である。また、登山者に対して、遭難防止対策を広報したり、植物の無断採取を注意したりするなど、山の治安を守ることも大事な仕事だ。なお、消防署にも「山岳救助隊」という同じような組織があるが、こちらは遭難者の救助が専門。山岳警備隊のように山の治安を見守るような業務はカバーしていない。
これがポイント!
警察官採用試験を受ける
山岳警備隊になるには、まず山岳警備隊のある県の警察官採用試験に合格し、採用されなければならない。採用後は警察学校で警察官としての基礎を学ぶ。その後、交番勤務などを経験し、希望者の中から体力と適性を見込まれた者だけが、ロープの結び方などといった山での生活技術や遭難者を背負っての下山を想定した訓練などを受ける。しかし、欠員が出た場合にだけ入隊できるため、すぐに配属されるとは限らない。
山に関する技術を身につけておく
学生時代に山登りやアウトドアスポーツを経験し、山のとりこになった人が、警察官採用試験を受けて、山岳警備隊を希望することが多いようだ。また、警察官になってから、実際に山岳警備隊の仕事ぶりを見て、志望する人もいる。山登り、スキーといった山に関する技術は、人並みに身につけておくと良いだろう。しかし、山が好きで体力があるだけでは務まらない。つらい経験にたえられるだけの、強い精神力も必要になることも覚えておこう。
将来はこうなる
登山ブームで遭難者も増加傾向、需要は高まるばかり
昨今の登山ブームで、高齢者から小学生まで、年齢を問わず多くの人が登山を楽しむようになった。海外から登山目的で日本を訪れる旅行者も増えている。しかし中には十分な準備をせずに、無理な登山を強行する人もいて、遭難者は増加傾向にある。また、日本は火山が多いため、噴火に巻き込まれるケースもある。残念ながら山岳警備隊の出動は、今後も増えていくに違いない。安全で確実な救助活動を行うために日頃の訓練が欠かせないのはもちろんだが、登山者への注意喚起や広報活動にもさらに力を入れていく必要がありそうだ。
データボックス
収入は?
警察官の給料は一般の公務員よりは高いのが特徴。警視庁を例にとると、令和4年1月1日現在の初任給は、Ⅰ類採用者(大卒者)で25万3300円、Ⅲ類採用者(高卒者)で21万3900円(地域手当を含める)。そのほか、扶養手当、住居手当、通勤手当などが支給される。山岳警備隊の場合、それにプラスして、命懸けで救助にあたり、日々のトレーニングなどもあるため、特殊勤務手当などが支給される。
休暇は?
週休二日制。ただし、交代制のため、土日が休みとは限らない。遭難者が出れば、休みの日に出動することもある。ずっと山中の交番に勤める隊員の場合、休日は平地に下りて過ごす。
職場は?
なるためチャート
山岳警備隊の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!