福祉に関する専門知識をいかして、さまざまな理由で社会生活を送ることが難しい人々の相談に乗ったり、問題を解決する方法を提案したりして助ける、福祉のスペシャリスト。
こんな人にピッタリ!
利用者の相談を根気強く聞くことができる人。的確な福祉サービスを提案できる判断力のある人。利用者の役に立ちたい、社会を良くしたいという思いの強い人に向いている。
どんな仕事?
困っている人たちを相談員の立場で手助けする
社会福祉士は、社会生活を送ることが難しい人々の相談役。助言や提案をしたり、関係する公共機関や医療機関などとの連絡や調整をするのが主な仕事。働く場所は、福祉施設、医療施設、高齢者施設、学校、少年院や刑務所など幅広い。「ソーシャルワーカー」や「相談員」とも呼ばれ、医療機関では「医療ソーシャルワーカー」や「医療相談員」、高齢者施設では「生活相談員」として働くことが多い。入院患者、入所者、または高齢者施設への入所を希望する相談者やその家族などから話を聞いて、適切なサービスを紹介したり、よりよいサービスを受けられるように専門家などに橋渡ししたりする。相談者自身が問題に取り組んで自立した生活を送れるように、社会福祉士が直接手を貸すのではなく、あくまで相談員の立場で手助けする。それが社会福祉士の役目だ。
これがポイント!
福祉系の大学に進学するのが近道
「社会福祉士」を名乗るには、厚生労働大臣が指定した公益財団法人社会福祉振興・試験センターが実施する「社会福祉士国家試験」に合格しなくてはならない。この試験の受検資格を取得するには、「大学や短大の卒業後に養成施設で数年間学ぶ」など道筋が12種類もある。一番の近道は、福祉系の4年制大学を卒業すること。在学中に指定科目を修得すれば、実務経験がなくても受験できるのだ。ちなみに、大学や短大を卒業しなくても、生活相談などの実務を4年以上経験した者は、専門の養成施設で1年間学ぶことで受検資格を得られる。国家試験の合格率は30パーセント程度だ。
社会福祉士の資格取得後の2つの目標
社会福祉士の上位資格として「認定社会福祉士」と「認定上級社会福祉士」がある。これは、「認定社会福祉士認証・認定機構」による、社会福祉士の能力を証明する民間認定。社会福祉士国家試験は、養成施設で学べば実務経験がなくても受検できる。そのため、社会福祉士の資格を取得しても、社会福祉士としての実務能力がある証明にはならない。社会福祉に関わる仕事のスタートラインについただけだ。そこで、実際に経験を積んで実力を身につけた社会福祉士であることを証明するために制定されたのが2種類の上位資格。まず、認定社会福祉士の資格を取得するには、社会福祉士として5年以上の実務経験と、決められた研修を受けた者が申請書類を提出し、認定機関の審査に合格する必用がある。そして、認定社会福祉士として5年以上経験を積み、研修を受けたうえに論文発表や試験に合格することで認定上級社会福祉士になれるのだ。認定社会福祉士は職場のリーダー、認定上級社会福祉士は職場がある地域の人材育成などの役割が期待されている。高いハードルだが、社会福祉士の能力をみがこうとする者にとっては目標になるだろう。
将来はこうなる
福祉サービスの多様化により幅広い活動が期待される
社会福祉士が活動する場所は、福祉、医療、高齢者、教育、司法など多くの分野に広がっている。その中でも、高齢者施設は社会福祉士の主要な就職先の一つ。高齢化社会を迎えた日本は、高齢者施設と利用者が増え、さまざまな問題に困っている人も増えているからだ。一方、学校で起こるいじめや不登校などの問題に対応する「スクールソーシャルワーカー」の仕事も増えている。そのように福祉サービスが多様化することで、専門的な知識や技術を持つ社会福祉士はさらに必要とされていくだろう。
データボックス
収入は?
所属する会社や団体によって異なるが、平均年収は382~407万円。
休暇は?
所属する会社や団体によって異なる。完全週休二日制の職場もあれば、平日に来られない相談者に対応するために土日祝日に出勤することもある。また、医療施設や高齢者施設で働く場合は、平日に休みをとることもある。
職場は?
福祉施設、医療施設、高齢者施設、学校、少年院、刑務所などさまざま。
なるためチャート
社会福祉士の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!