（初世）（1598〜1658）江戸歌舞伎芝居の開祖。はじめ京都に住み，狂言を演じていたがのち歌舞伎に転じた。1622年，江戸に下り，24年に猿若（中村）座を起こし興行。座元と俳優をかねた。中村座座元は明治維新後の1875（明治8）年，13世勘三郎（1827〜95）まで継承された。
（17世）（1909〜88）大正・昭和時代の歌舞伎俳優。3世中村歌六の4男に生まれる。兄は初世中村吉右衛門，3世中村時蔵。1916（大正5）年，東京市村座で初舞台。50（昭和25）年，17世中村勘三郎を襲名。義父6世尾上菊五郎の気質と芸風を継承し，時代物・世話物にすぐれた演技を見せた。舞踊にも長じた。75年，人間国宝（重要無形文化財保持者）に選ばれた。
（18世）（1955〜2012）昭和・平成時代の歌舞伎俳優。17世中村勘三郎の長男として東京に生まれる。3歳で中村勘九郎を名のり初舞台をふむ。きっぷのいい立役，愛嬌のある女形のいずれも得意として「髪結新三」「菅原伝授手習鑑」「魚屋宗五郎」などで評判をよび，若手歌舞伎俳優の旗手と目される。舞踊も得意とした。演出家串田和美と組んで「コクーン歌舞伎」の新たな歌舞伎の挑戦，野田秀樹作の新作歌舞伎などにも意欲的に取り組んだ。プロデューサーとしても才能を見せ，2000（平成12）年からは仮設の芝居小屋「平成中村座」の座元として日本各地や海外でも公演を行い好評を博す。2005年，18世中村勘三郎を襲名。テレビドラマやコマーシャル，トーク番組などにも出演しお茶の間でも親しまれた。2012年7月，食道がんを手術，その後，肺疾患を併発し，57歳で早世した。
