おやつタイムで子どもの自己管理力を育む! 親子で役立つ“ちょい足し”活用法とは

「子どもがおやつの時間にお菓子を食べすぎてしまい、夕食をしっかり食べてくれない…」「夕飯まで時間があるので、おやつにお菓子を与えているけど、それでいいのか?」など、子どものおやつに対して悩みを抱える保護者は多いでしょう。実は、子どもにとっておやつは「第4の食事(補食)」と呼ばれ、おやつの時間を上手く活用することで、栄養補給はもちろん、子ども自身の自己管理力の育成にも役立つ時間になるのです。今回は、食育の専門家であり二児の母でもある板垣好恵さんに、発達段階に応じたお菓子との付き合い方や、ちょい足しで栄養を補えるアイデアを教えていただきました。
おやつは「第4の食事」 成長期にこそ必要な理由
食べすぎが気になる…でも「禁止」では解決しない?

子どものお菓子の食べすぎに悩む保護者は少なくありません。「夕食を食べなくなる」「虫歯や肥満が心配」「毎日お菓子を欲しがる」など、日常的な困りごととしてよく聞かれる声です。
しかし、最近の食育の現場では、「お菓子=悪」と決めつけるのではなく、「どう活用するか」が大切だという視点が広がっています。大切なのは、与え方と向き合い方。お菓子は工夫次第で、栄養補給や心の安定、そして子どもの自己管理力を育てる学び(食育)にもなるのです。
そこで、注目されるのが「第4の食事」としてのおやつの存在です。これは甘いお菓子に限らず、栄養補給のための「補食」という考え方で、実は保育園や小学校の栄養指導でも行われており、一般的な考え方になっています。子どもは日々成長し、学校生活や習い事などでエネルギーを多く使っています。一方で、胃の容量がまだ小さいため、三食だけでは栄養を摂りきれないことも。
そこで、おやつを「補食」として捉えることで、三食すべてで完璧に栄養を摂らせなければという保護者のプレッシャーも軽減されます。1日の中で少しずつ栄養を補うという視点に立つことで、心にも余裕が生まれます。
お菓子には「心の栄養」としての役割も
また、お菓子には「心の栄養」としての側面もあります。好きなおやつを食べることで、子どもは安心感を得たり、気持ちの切り替えができたりします。
ただし、「宿題を終えたら、お菓子を食べられるからね」など、感情の報酬(ご褒美)として与えすぎると、依存や食行動の乱れにつながることもあるため、“ルールのある楽しみ”として上手に取り入れることが大切です。
たとえば、「一日一個まで」「平日は選べる種類を限定する」など、家庭で無理なく守れるルールをあらかじめ共有しておくことで、お菓子との付き合い方も安定しやすくなります。
このあとのパートでは、先生おすすめのルールの例もいくつかご紹介します。
年齢で変わるお菓子とのかかわり方

低学年(小学1~3年生):管理型。子どもがお菓子を選ぶ楽しさを感じるよう一緒に選びながら、保護者がお菓子を食べるタイミング・量・内容をサポートする
- 「1日1個」「おやつは15時」など、時間・量ともに明確なルールを設定する
- 「おやつ=こういうもの」という基礎概念が形成される時期。内容、量、タイミングをできるだけ一定に保ち、生活リズムの中に自然に組み込むことで、習慣化の定着を最優先にする
高学年(小学4~6年生):対話型。「今日はどのお菓子にする?」と投げかけ、子ども自身にも考えさせる
- 選び方の基準を教える、一緒に考える。「この時間に食べて大丈夫?」「甘いものが続いてない?」など、栄養、タイミング、量のバランスを考える力を親子で育てていく
- 食事への影響が出ていないか?に気を配る。お菓子が「補食」の役割を超えてしまい、夕食を食べ残す、夜遅くに食べる習慣がつくなどの影響がないか、生活全体の中での正しい位置づけを意識する
中学生以降:信頼型。子ども自身で調整できるように
- 信頼づくりの土台を作る時期
- 「部活が夜遅くまであるなら何か今食べる?」などのコミュニケーションの中で、子どもが自分で調整できるような判断基準を共有していく
「管理→対話→信頼」とステップを踏むことで、子どもが体調や予定に合わせて自分で選択する力を自然に育てていくことができます。
家庭で実践!自己管理力+栄養補給どっちも手に入るおやつの活用法
ここからは家庭でも簡単に実践できる、おやつタイムの活用例を紹介します!
「おかしボックス」で“考えて選ぶ”力を育もう

日々のおやつを毎回、親が細かく決めるのは大変ですし、子どもの年齢によって関わり方は変わってきます。
小学校低学年までは、親が与える内容やタイミングをコントロールしながら、子どもに安心して食べる体験を積ませる時期。一方、中学年以降は、“自分で考えて選ぶ”経験を少しずつ積ませていきたい時期です。
そんなときに役立つのが「おかしボックス」。あらかじめ数種類を入れておき、その中から子ども自身が「今日はどれを食べようかな」と選べる仕組みにすることで、“自分で選んだ”という満足感が得られやすくなります。
以下のようなルールを決めておくと、楽しみながらおやつ習慣が整いやすくなります。
【基本ルール】
- 食べ過ぎになりにくい個包装のお菓子をストックしておき、「1日1個」などルールを決める
- 子ども自身に選ばせることで、「選ぶ自由」と「選ぶ責任感」を育てる
- 平日は制限・休日は自由にする、など、メリハリをつける
- グミやクッキーもあれば、おせんべい、干し芋や小魚ナッツなどの栄養が取れるものなど多種多様に入れる
低学年(小学1~3年生)向け
- ボックスの中身は親が管理し、食べすぎ防止のための個包装+栄養補助食品(例:カルシウム入りウエハース、鉄分入りグミ)などを組み合わせる
- 選択肢はあえて絞る。ボックスはコンパクトにし、中身の種類や量も控えめにすることで、子どもが選びやすい環境を作る。「選ぶ楽しさ」は残しつつ、自由度はコントロールする
- 親の都合で揺らがない運用を徹底する。今日は忙しいから・・といった理由でおやつを代替的に使わない。一貫した対応が、信頼と習慣化の土台を築く
高学年(小学4~6年生)向け
- ボックスの中身の選定や補充頻度の調整も一部任せて、主体性と食習慣への関心を引き出す
- 自主性を尊重する一方で、親が全く関与しないのはNG。日々の選び方や食べ方に目を配り、必要に応じて声をかけるなど、対話を通じたフォローが重要
- 「今日はどれにする?」ではなく「どんな組み合わせがいいかな?」と問いかけ、食べ方を設計する力を育てる
禁止するのではなく、「どう付き合うか」を考えることで、お菓子を通じた食育が家庭の中で自然と行えるようになります。
「ちょい足し」で“血糖値スパイク”を防いで栄養調整! お菓子と上手に付き合うコツ
お菓子の取り方によっては、体調や気分に思わぬ悪影響を及ぼすことがあります。特に、空腹時に糖質の多いお菓子を単体で食べてしまうと、血糖値が急激に上昇したあと、急降下する「血糖値スパイク」と呼ばれる状態が起きやすくなります。
この血糖値の乱高下は、次のような体調や感情の変化と関係します:
- 夕方にイライラしやすくなる
- 集中力が持続しない
- 疲れやすく、ぼーっとしがちになる
- ドカ食いにつながる
お菓子を食べる内容を誤ると、子どもの情緒や生活リズムにも悪影響を及ぼすことがあるのです。このリスクを減らすには、糖質に加えて、食物繊維やたんぱく質を“ちょい足し”することが有効です。食物繊維やたんぱく質を組み合わせることで、血糖値の急上昇・急降下を防ぎやすくなり、結果的に気分の安定やドカ食いの予防にもつながります。
さらに、ちょい足しは栄養の偏りを補う意味でも効果的。以下のような組み合わせなら、栄養バランスも整えやすくなります。
たとえば…
スナック菓子 +ヨーグルト ⇒カルシウム補給に
クッキー +果物やドライフルーツ ⇒ビタミン&食物繊維UP
甘いグミ +ナッツやチーズ ⇒たんぱく質の追加

また、意外と知られていない、栄養価のあるお菓子として「ポップコーン」もオススメです。ポップコーンには食物繊維が豊富に含まれており、血糖値の上昇を緩やかにする働きがあります。スナック菓子感覚で食べられるのに、糖質も脂質も低いのがよいところです。市販の中では、塩分や甘さ控えめなシンプルなものや、油を使っていない“素焼きタイプ”を選ぶと、よりヘルシーです。
さらに、温かい飲み物は満足感がアップするので、ホットミルクなどをあげるだけでも食べたい衝動や食べ過ぎをおさえることができます。
こうした「ちょい足し」の工夫は、血糖値の急激な変動を抑え、心と体の安定をサポートします。また、高学年以降の子どもなら「どれを組み合わせるか」を一緒に考えることで、食への興味や主体性を育む第一歩にもなります。
タイミング別:おすすめのおやつとポイント
お菓子は、子どもの活動やシーンに合わせて取ることで、体に良い影響をもたらすことができるのを知っていますか?
今回は”あるある”な子どものケース別に、どのようなお菓子をあげるとより良いか、オススメのお菓子とポイントを紹介!
子どもの小腹が空いたとき
ポイント:糖質中心で脂質が少ないものを選ぶ。次の食事に影響しにくいので小腹にちょうどよい。
例:カステラ、あんこ系の和菓子、素焼きのおせんべい、干し芋など
勉強を頑張る前に
ポイント:即効性のある糖質で脳のエネルギー補給。脂質は控えめに。食べすぎは血糖値スパイクを起こして、眠気やだるさを引き起こし、逆効果になるので少量にとどめる。
例:ポップコーン(塩味)、グミ、ラムネ、小さめのどら焼きやつぶあん系饅頭、甘栗など
スポーツの前後
ポイント:運動前は、糖質中心、軽くて消化の良いもの。運動の後は、糖質+たんぱく質で回復をサポート。
例:運動前…バナナ、ゼリー、カステラなど 運動後…チーズ入りクラッカー、小魚ナッツ、飲むヨーグルトなど
お菓子は、子どもと向き合うための“ツール”にもなる
大切なのは、与え方と向き合い方。お菓子は工夫次第で、栄養補給や心の安定、そして子どもの自己管理力を育てる教材にもなるのです。
また、「これはおやつ、これはごはん。なぜ違うの?」という疑問を通じて、食事との違いや目的を伝えるチャンスにもなります。お菓子を通して食の意味や仕組みを考える体験は、子どもの自己管理力を育む土台にもつながっていきます。
お菓子を完全に制限したり、過剰に与えたりするのではなく、「栄養と気持ちの両方を満たすもの」として付き合うことが、これからの時代の食育のかたちかもしれません。
お菓子をどう活用するかは、子どもとの信頼関係やコミュニケーションを深める機会にもなります。お菓子を“きっかけ”に、子どもの食と心に向き合ってみてはいかがでしょうか。
編集/三木あお唯 文/高須賀里緒菜(キッズネット)










